プロジェクトストーリー 04 - 株式会社サンオータス

Project Story プロジェクトストーリー

04/車社会の「100年に一度の変革期」を乗り越える株式会社サンオータスの多彩なSDGs戦略 株式会社サンオータス

  • 3 すべての人に健康と福祉を
  • 4 質の高い教育をみんなに
  • 5 ジェンダー平等を実現しよう
  • 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 8 働きがいも 経済成長も
  • 10 人や国の不平等をなくそう
  • 11 住み続けられるまちづくりを
  • 12 つくる責任 つかう責任
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう
株式会社サンオータス 代表イメージ

活用スキーム

取り組み目標

株式会社サンオータスは神奈川県を中心にガソリンスタンド、レンタカー、輸入車ディーラー、保険事業、モビリティ事業を展開している東証スタンダード市場に上場する業歴70年を超える企業。今、自動車業界とエネルギー業界では「100年に一度の変革期」といわれている。エネルギーや移動手段の多様化が進んでいくなか、サンオータスは経営資源を最大限に活用し、事業の成長性と継続性を両立させながら、脱炭素、地域・観光MaaS(移動サービスの一括管理サービス)の推進を通じて地域経済や社会に貢献できる企業をめざしている。北野俊代表取締役社長に話を伺った。

企業情報

  • 会社名株式会社サンオータス
  • 代表者代表取締役社長 北野 俊
  • 所在地神奈川県横浜市港北区新横浜2-4-15 太田興産ビル新横浜9F
  • 創業1926年
  • 事業内容ガソリンスタンド・レンタカー・輸入車ディーラー・保険事業・モビリティ事業
  • ウェブサイト https://sunautas.co.jp/新しいウィンドウで開きます

INDEX

「100年に一度の変革期」を迎えたモビリティ業界

ポジティブ・インパクト・ファイナンスをどのように知りましたか?

北野社長

横浜銀行からSDGs(持続可能な開発目標)に積極的に取り組んでいる企業の資金調達手段として、サステナブルファイナンスがあるとの情報をいただきました。最初に話を聞いたときは驚きましたね。もう、そんな時代になっているのかと。サンオータスがサステナブルファイナンスのうち、ポジティブ・インパクト・ファイナンスを採用した理由は3つあります。

1つ目は、SS(サービスステーション)跡地の有効活用です。サンオータスでは環境に配慮したEV(電気自動車)やシェアサイクル付賃貸物件の建築を進めており、資金の調達を検討していました。

2つ目はサンオータスの各事業においてSDGsを意識した活動内容について、ポジティブ・インパクト・ファイナンスのKPI(重要業績評価指標)として整理し、その進捗確認を定期的に実施できる仕組みが私たちにとって適していたことです。

3つ目はサンオータスのSDGsへの取り組みや妥当性について信頼性の高い第三者機関による検証を受けたうえで対外公表し、認知度も高めることができるという点でした。

北野社長

北野 俊(キタノ トシ)

株式会社サンオータス代表取締役社長。1967年生まれ。1990年慶応義塾大学商学部卒業後、横浜銀行入行。2001年に横浜銀行を退社し、サンオータス取締役管理本部長。2003年常務取締役に就任し、M&Aによる輸入車販売会社を買収するなどカービジネス事業を拡大。2004年代表取締役社長に就任、現在に至る。

ポジティブ・インパクト・ファイナンスをどのように評価しますか?

北野社長

私たちは持続可能な開発目標の実現や社会的な課題の解決に向けて取り組んでいます。ポジティブ・インパクト・ファイナンスは重要な手段のひとつだと考えます。このサステナブルファイナンスは社会に与えるネガティブなインパクトを低減し、ポジティブな影響をもたらすでしょう。

例えば、先ほどSS跡地のお話しをいたしました。令和2年時点で、日本のSS数は約29,000か所(令和2年調べ。経済産業省「揮発油販売業者数及び給油所数の推移(登録ベース)」より)。かつては60,000か所近くありましたので、半数ほどに減っています。SSを長く使っていると、稀に地下タンクからガソリンが漏れてしまうことがあります。地域の方にご迷惑をかけるわけにはまいりませんので、SSを閉鎖する際には周囲の土を掘り起こし、新しく土を入れ替える必要があります。ポジティブ・インパクト・ファイナンスは、このような用途にも使用できましたので大変助かりましたね。

SUNAUTAS MOBILITY

サステナブルファイナンスは、会社が変わっていくための新しい仕組み

サステナブルファイナンスはどのような変化を御社にもたらすのでしょうか?

北野社長

私たちは融資をエネルギー、自動車などを仕入れる資金、運転資金に充当する割合が大きいですね。あとは、成長戦略を描くための設備投資、店舗を増やしていくための資金です。

現在は原油高ですから、今取り組むべきはエネルギーの多様化です。サンオータスでもEVやEV用の充電器を増やしたり、水素ステーション事業にも取り組んでいます。これまで後回しにしていたものが、資金を確保できたことでこれらの優先順位がどんどん上がってきていますね。

SDGsへの関心が高い社員たちは、自分の行動が社会に良い影響を与えられることに気づき、モチベーションが上がっています。

当初は、サステナブルファイナンスの目的や、どのように社会的な影響をもたらすのか、会社の事業の持続可能性にどのような役割を果たすのかについては想像がついていないようでした。しかし、横浜銀行のポジティブ・インパクト・ファイナンスの資料から仕組みを理解した結果、このサステナブルファイナンスが、企業が社会に対してのネガティブ・インパクトを低減し、ポジティブ・インパクトを増大して、結果として企業価値の向上だけでなく、社会的課題の解決に繋がることを理解してくれました。

これまで、ユーザーの皆さま、投資家や株主に向けて、サンオータスは環境配慮型製品やサービスを提供している、というアピールをしてきました。しかし、サステナブルファイナンスは、ポジティブな取り組みだけでなく、ネガティブな取り組みも数値化するという新しい仕組みです。これは、当事者である私たちだけではできず、第三者が入ることによって、より客観的で、対外的にも信憑性のあるものが得られると考えています。

北野社長

北野社長

また、ポジティブ・インパクト・ファイナンスは、銀行や第三者機関によるモニタリングがあります。これは私たちの会社がSDGsの目標に向かっているかをチェックできる仕組みです。このモニタリングは、企業がSDGsへの取り組みを継続的に改善していくためのモチベーションを高める効果があるように思いますね。

サステナブルファイナンスは、サンオータスという会社が、変わっていくための新しい仕組みのひとつだと捉えています。私は、この融資や取り組みを通じて、さらに社会に良い影響を与えられる企業でありたいと考えています。

認定証、登録証

脱炭素の潮流のなかで、どうやって成長していくか

脱炭素の潮流イメージ

化石燃料に依存する現状の車社会に対して御社はどのようにお考えですか?

北野社長

サンオータスとしては変化に適切に対応した拠点を構築し、社会に対して常に最適なサービスを提供できる体制を整備していきます。例えば、急速充電器の設置や水素充填設備への設備投資などです。

これまで石油エネルギー業界は重厚長大のなかで、「いかに規模を広げていくか」を追求していたように思います。けれど、日本にも世界的な脱炭素の流れが来て、エネルギーもそれらを取り巻く環境も多様化しています。この脱炭素の潮流のなかでどうやって、私たちは消費者の方と一緒に成長していくかを共に考えていくことが大切だと思います。少し前まで脱炭素社会やEVは、「まだ先の話」だったのですが、もはや現実味を増してきたということなんですね。

サンオータスではガソリンや車を販売しています。消費活動、経済活動を活発にすると、どうしてもCO2(二酸化炭素)を排出してしまう事業形態です。この排出したCO2を事業活動のなかでどのように減らし、切り替えが可能か。このあたりの課題解決が私たちの中長期的な目標ですね。気候変動問題は、株主からも、入社説明の際にも質問をもらうようになっています。特にサンオータスに入社を希望する若い世代の意識は高いように感じていますね。サンオータスは気候変動に対する問題解決に対し、積極的に取り組んでいかねばと考えています。

最後に改めて、御社のSDGsに対する取り組みをお聞かせください。

北野社長

お客さまに満足していただくサービスを提供しながら、環境への配慮、ジェンダーの平等、外国人の雇用など、社会課題の解決に積極的に取り組み、多種多様な面から持続可能な成長と中長期的な企業価値の向上を追求してまいります。

私たちサンオータスは、お客さまとか世の中のために必要になる企業でありたいと願っています。それをエネルギーやモビリティの多様化によって実現していきたいですね。

当然のことながら、温暖化防止のためにも脱炭素社会に向けた取り組みも急務です。私たちの事業活動のなかでそこも解決していきます。サンオータスは神奈川県内を中心に事業をおこなっています。社員全体で、環境に対する課題解決を実現していく。一人ひとりのアクションや取り組み、意識改革によって、地域の方から愛される企業をめざしていこうと考えています。

PHOTO GALLERY

  • インタビュー内容は2023年7月の取材に基づいています。記事内容および所属は取材当時のものです。
  • 対談は、新型コロナウイルス感染症対策を徹底したうえでおこなっています。

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