プロジェクトストーリー 05 - 株式会社西山製作所

Project Story プロジェクトストーリー

05/地域や家族との繋がりを大切にする西山製作所がポジティブ・インパクト・ファイナンス導入に込めた思い 株式会社西山製作所

  • 3 すべての人に健康と福祉を
  • 4 質の高い教育をみんなに
  • 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 8 働きがいも 経済成長も
  • 10 人や国の不平等をなくそう
  • 12 つくる責任 つかう責任
株式会社西山製作所 代表イメージ

活用スキーム

取り組み目標

西山製作所は1949年創業、「細管の西山」「技術の西山」として、特に外径10mm以下の小径精密引抜鋼管を得意とし、6mm以下では高い市場シェアを誇る。神奈川県小田原市を拠点に、地域経済の中心的な担い手候補である企業『地域未来牽引企業』にも選定された同社は、全社員のうち2割が家族社員であり、『自分の子供を入社させたい』と思える会社として発展してきた。その社風を大切にしながらも、社外の経済情勢や社会状況に目を向けるきっかけにもなったポジティブ・インパクト・ファイナンスの導入の意義について、西山製作所松山厚志代表取締役社長に話を伺った。

企業情報

  • 会社名株式会社西山製作所
  • 代表者代表取締役社長 松山 厚志
  • 所在地神奈川県小田原市成田979
  • 創業1949年
  • 事業内容引抜鋼管の製造
  • ウェブサイト https://www.nishiyama-ss.co.jp/company/新しいウィンドウで開きます

INDEX

家族で働ける、地域と繋がり続けられる魅力のある会社をめざして

御社のご紹介をお願いします。

松山社長

株式会社西山製作所は1949年に創業した「小径薄肉鋼管」を得意とする引抜鋼管メーカーです。引抜鋼管とは、素材の鋼管(パイプ)を冷間加工により、お客さまのニーズにあった径・肉厚に加工した鋼管をいいます。当社では引抜技術を応用し、特殊な形状加工や素材の多様化を進めており、自動車や給湯器など幅広く工業製品の中に組み込まれています。おそらく、皆さまのお使いの車や給湯器にも、私たちの商品が組み込まれていると思います。

松山社長

松山 厚志(マツヤマ アツシ)

1959年生まれ。株式会社西山製作所代表取締役社長。1982年同志社大学商学部卒業後、新日本製鐵株式会社(現日本製鉄株式会社)入社。富安株式会社を経て、2014年西山製作所取締役営業統括。2015年フィリピン現法(P.N.P.M.)副社長に就任(兼務)し、同現法の立ち上げを主導。2018年代表取締役社長に就任、現在に至る。

松山社長

当社には創業当時からの変わらぬ理念がございます。「良い会社を造り上げよう。自分の子供をぜひ入社させたい。そのような会社に。未来へ、そして子供たちへ、生きがいと生産性との調和を求めて」という経営理念です。つまり、「自分の家族と共に働きたいと思うような会社を作ろう」という気持ちです。普通は家族が勤めている会社にあまり入りたいとは思わないかもしれませんね(笑)。ですが、私たちは家族で働ける、地域と繋がり続けられる魅力のある会社をめざしています。

秋田工場ができた経緯も人との繋がりから生まれました。50年ほど前、当時は人手不足で秋田県雄物川町(現横手市)から神奈川県小田原市の工場まで出稼ぎに来ていただいていました。出稼ぎの季節になると私たちも家族同様に迎えました。そのご縁から横手市の人々から熱烈な工場誘致の誘いがございまして、秋田工場をつくるに至りました。現在では高品質鋼管を製造する当社の主力工場として稼働しています。企業誘致のパターンとしては珍しいケースだと思いますね。

株式会社西山製作所の製品イメージ

ポジティブ・インパクト・ファイナンスは、外に目を向ける良い起点

ポジティブ・インパクト・ファイナンス導入の経緯を教えてください。

松山社長

家族が多く働く。よく言えばアットホームな社風です。しかし、身内が多いと内向きの考えになる傾向もあると思います。会社という組織は社会や地域との繋がりが大切ですし、常に外向きの意識も持ち続けなければなりません。横浜銀行からポジティブ・インパクト・ファイナンスのご案内をいただいたとき、「これは外に目を向ける良い起点になるのでは?」と感じました。

と、申しますのも、社内にカーボンニュートラル委員会を設立(2022年)し、翌年に若手中心のSDGs推進室が誕生したところだったのです。社外にも広く目を向けよう、環境について学んでいこうと考えていた折にポジティブ・インパクト・ファイナンスをご紹介いただいたのです。SDGs推進室の中核を担うのはミレニアル世代です。この世代の良い点は、我々を含めた世代がつくった固定概念や常識にはあまりとらわれないところです。そこに期待したのです。

松山社長

松山社長

ポジティブ・インパクト・ファイナンスを導入する際、「今後西山製作所が何をしなくてはいけないか?」を、SDGs推進室が洗い出し、それらがSDGsに資するものなのかの議論を深めました。しかし、いくら新しい世代が中心といっても社内だけでの議論では外からの視点が足りません。大変良かったのが外からの視点が入ったことです。ポジティブ・インパクト・ファイナンス導入の目標設定をするにあたり、横浜銀行グループ会社の株式会社浜銀総合研究所から定性的・定量的な評価を受けることができたのです。社内だけではもやもやしていたアイデアが1個ずつ明確な目標になっていき、KPIの設定と目標方針を策定することができました。自分たちで考えたことが、外部機関にオーソライズ(公認)されたという経験は、若手社員たちの自信にも繋がりました。

株式会社西山製作所の従業員

地域との共生なくして会社の存続はない

融資は7年間の運転資金とのことですが、具体的にどのような用途で活用されるご予定でしょうか?

松山社長

当社の金融面での安定化、加えてSDGs推進室が企画した施策対応に使いたいと考えています。具体的には、資源効率・安全性(環境に対して低負荷の資材への切り替え、潤滑油槽の改良、施設のLED化)、従業員の雇用・健康増進(有給休暇取得の励行、健康増進キャンペーンの実施)などへの活用です。これらの進捗についてモニタリングを受け、取り組みを促進、発展させてまいります。

御社のSDGs、環境や社会貢献に対する取り組みをお聞かせください。

松山社長

異業種を含めた会合に行くと、最近では環境対策の話になることが多いんですね。カーボンニュートラルやクリーンエネルギーの観点でお話しさせていただくと、「西山製作所はそこまで意識を持たれているのですか」と驚かれることはあります。大企業は環境に配慮した考えが当たり前ですが、私たちの会社の規模にしては環境意識が高いように評価されることがございます。私たちも大企業とのお取り引きがございますので、当然その姿勢がビジネスに影響いたします。ただ、日々の生産や業務に追われていると目先、足元のミクロに注視しがちです。しかし、世界情勢は日々変化しています。マクロがどう動いているのか、そこもミクロと同時に見ていかなければなりません。受け身でマクロに対応するのではなく、むしろ積極的にチャレンジしていく必要があると考えています。これを若い世代とともに挑戦し、その気運をさらに醸成させたいと思っています。

松山社長

西山製作所は地域経済の中心的な担い手候補である企業『地域未来牽引企業』に経済産業省から選定されています。今後はさらにどのように地域と繋がっていきたいとお考えですか?

松山社長

西山製作所の付加価値を高めるだけではなく、職員の意識をもっと改革する意味で、地域経済や地域社会との関わりを一層深めていきたいと考えています。そのなかでなにができるか。私たちは物づくりの会社です。軽量化、熱効率、高効率といった、社会に必要とされる技術を開発、販売を進めることで地域社会に貢献をしていきたいと考えています。それに、あらためて感じるのが、「地域との共生なくして会社の存続はない」ということです。地域と会社の共生があったからこそ、神奈川県に75年も存続できたのです。これからも、西山製作所は地域とともにありたいと考えています。

株式会社西山製作所の従業員

PHOTO GALLERY

  • インタビュー内容は2023年11月の取材に基づいています。記事内容および所属は取材当時のものです。
  • 対談は、新型コロナウイルス感染症対策を徹底したうえでおこなっています。
株式会社西山製作所の外観

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