プロジェクトストーリー 02 - フィード・ワン株式会社

Project Story プロジェクトストーリー

02/「おいしさのみなもと」にある会社としてフィード・ワンができること フィード・ワン株式会社

  • 2 飢餓をゼロに
  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 12 つくる責任 つかう責任
  • 14 海の豊かさを守ろう
  • 15 陸の豊かさも守ろう
フィード・ワン株式会社 代表イメージ

活用スキーム

取り組み目標

畜産飼料、水産飼料の製造・販売において、業界トップクラスのシェアを誇るフィード・ワン株式会社。「おいしさのみなもと」をコーポレートスローガンに、食の安全・安心を支え、世界の食文化に貢献することを使命とする同社が、全社を挙げて推進するサステナブル経営とは。「私たちの事業は自然の恵みの上に成り立っている」と語る庄司英洋社長に、現在の取り組み、そして未来への展望を伺った。

企業情報

  • 会社名フィード・ワン株式会社
  • 代表者代表取締役社長 庄司 英洋
  • 所在地神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町二丁目23番地2
  • 創業2014年
  • 事業内容配合飼料の製造・販売、畜水産物の仕入・販売・生産・加工等
    上記に付帯関連するその他事業(農場の経営指導、家畜診療施設の運営等)
  • ウェブサイト https://www.feed-one.co.jp/csr/新しいウィンドウで開きます
フィード・ワン株式会社 工場イメージ

INDEX

「食のバリューチェーン」の川上で、自然の恵みの上に成り立つ企業

庄司社長

フィード・ワンは2014年、協同飼料と日本配合飼料という、共に横浜に本社を置く企業が経営統合して設立されました。畜産飼料、水産飼料の製造・販売を主力に、畜産物や水産物の販売を手がける他、ベトナム(畜産飼料の製造・販売)とインド(水産飼料の製造・販売)で海外事業も展開しています。

庄司社長

庄司 英洋 (ショウジ ヒデヒロ)

フィード・ワン代表取締役社長。1964年生まれ。88年東京大学農学部卒業後、三井物産入社、2018年食料・流通事業業務部長、20年フィード・ワン上席執行役員経営企画部長、21年常務執行役員経営企画部長兼水産飼料部副管掌、22年6月より現職。

庄司社長

肉、魚、卵、牛乳などの生産には飼料が不可欠です。私たちフィード・ワンはこの「食のバリューチェーン」の川上で、飼料という形で食を支える重要な役割を果たしていると自負しておりまして、「おいしさのみなもと」というコーポレートスローガンを掲げています。国内の畜産飼料の需要量は年間2400万トン程度で推移しており、フィード・ワンはそのうち約350万トンを供給し、JA全農(全国農業協同組合連合会)を除くとトップシェアです。

自然の恵みの上に成り立つ企業としてSDGs(持続可能な開発目標)をどのように受け止めていますか。

庄司社長

トウモロコシなどの飼料原料やその飼料を使用して生産される畜産物・水産物は自然と繋がっています。つまり、私たちの事業は自然の恵みの上に成り立っているわけです。「地球環境の上でビジネスをさせてもらっている」という意識を、社員一同強く持っています。

あらためて、会社としてSDGsに目を向けたのは、山内孝史会長(前社長)です。山内会長は社会全体の気運としてESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みが求められていることを察知していました。当時、東証再編の準備をしていた時期で、プライム市場に移行する企業は、当然のことながらESGの意識を強く持たなければなりません。そこで、目先の収益重視ではなく、もう一つ高い目線を持つべきであると考え、全社におけるESGの取り組みを推進する組織として”ESG委員会”を設置しました。

これをきっかけに、社員個人のSDGs達成に向けた取り組み「私のSDGs宣言」プロジェクトや社内における勉強会の開催等の啓蒙活動など社員一人ひとりの取り組みから始まり、直近では気候変動への取り組みとして2022年6月に実施したTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)レポート開示といった、会社全体の取り組みに発展しています。

配合飼料の原料には食品を加工する際に発生した食品副産物(食品残渣と言った方がイメージしやすいでしょうか)が発生します。
たとえば大豆油を搾ったあとの搾り粕やコーンスターチを作った後の加工残渣などが挙げられます。これらは私たちメーカーの知見を活かした栄養設計の飼料とすることで家畜にとって有効な栄養源になり得ます。
このように本来廃棄されるはずのものを配合飼料として活用することで畜水産物の生産に貢献することは、我々だからこそできる食の循環へのアプローチであると自負しております。

加えてフィード・ワンではコンビニエンスストアや居酒屋チェーンから出る食品ロスも積極的に飼料の原料として利用し、環境にやさしい資源循環型社会の実現を目指しています。私たちはこの循環を「食品リサイクル・ループ」と呼んでいます。これは食料自給率の向上を図る上でも重要な取り組みであり、この事業に携わる上で我々の使命だと考えております。

資源循環イメージ

「ESG、SDGsに対する使命感」の醸成に繋がった、サステナビリティ・リンク・ローン

サステナビリティ・リンク・ローンを知った経緯について教えてください。

庄司社長

プライム市場への移行のタイミングで、社内でのESG、SDGsの機運がより高まりました。そのようななかで、横浜銀行から提案されたサステナビリティ・リンク・ローンが資金調達の手段として有効ではないかと思うようになりました。先述しましたようにフィード・ワンでは、食品副産物を配合飼料の原料として利用しておりますので、サステナビリティ・リンク・ローンの理念にマッチしているのではないかと考えたのです。当然、サステナビリティ・リンク・ローンの枠組みを利用するということは、TCFDの目標達成について社外からより厳しい目が向けられると自覚しております。融資を受けることは社員全員の「ESG、SDGsに対する使命感」の醸成に繋がっていると思います。

2021年にスタートした「私のSDGs宣言」プロジェクトは、社員一人ひとりがSDGsを自分事として捉え、取り組みに繋げることが狙いですね。大変ユニークな試みですね。

庄司社長

その通りです。サステナビリティへの理解・浸透を図り、社員の意識を高める取り組みです。社内ではESG/SDGs経営やサステナビリティの実現を主体的に取り組む組織風土を醸成すべく、2022年4月に新たに設置されたサステナビリティ推進室を中心として啓発活動を行っています。

例えば、社員が「節水・節電を心掛ける」「ペーパーレス化」「家事・育児を夫婦で協力」など、身の周りでできることを発見して宣言しています。グループ報『One's Press』で、社員の皆さんが発表しているのを見ると、とても楽しそうなんです。良い顔をして写っているんですよね。世界共通課題を自分事にする「私のSDGs宣言」プロジェクトという取り組みは非常によかったと思っています。

海洋イメージ

庄司社長

また、フィード・ワンは社会の一員として社会全体の発展に貢献したいと考えており、本社を構える横浜市を中心に積極的に社会貢献活動に取り組んでいます。具体的には、食育講習会の開催や中高生のキャリア教育への協力の他、地元のイベントにボランティアとして参加するなど、地域とのつながりをとても大切にしています。
横浜市では毎年横浜マラソンが開催されていますが、フィード・ワンは「横浜サポーター」として協賛しており、大会には役員・社員有志がボランティアとして参加しています。また、関係会社の人気商品である味付ゆでたまご「マジックパール」を提供し、ランナーの皆さまにご好評いただいております。

社内での健康管理もユニークで「フィード・ワンの健康経営宣言」では、肥満度を表す体格指数であるBMIにも目標数値を設定していますね。

庄司社長

健康経営の指標として、喫煙率、健康診断受診率、平均年間有休取得日数などを定点観測しています。ここにBMIの目標数値も含まれます。……この業界はお客さまやお取引さまと飲食を共にする機会が多いですからね(笑)。

社員の心や身体の健康はとても大切なことです。これが良くなければ会社の経営にも影響が出ます。プライバシーに配慮しながら、健康状態を会社が把握することができれば、社員が危険な健康状態になる前に、手を打つことができます。今はアプリなどで管理が可能ですので、ダイエットや禁煙の成功体験を集め、社内で広めていきたい。そうすれば、社員の皆さんの良い刺激になると思いますね。

健康管理アプリ

次なるステップは企業成長と社会課題解決の両立

最後に改めて今後のESG、SDGsに対する取り組みについてお聞かせください。

庄司社長

まず、コミットしている2030年(CO2排出量2020年度比50%削減)、2050年(バリューチェーンにおけるカーボンニュートラルの実現)の目標に向かって進まなくてはいけません。これを遂行できなければ、サステナビリティ・リンク・ローンを融資していただいた意味もなくなります。この目標をしっかり追求していきたいです。そして、この取り組みはフィード・ワンのためにもなると考えております。

私たちの事業は前述の通り食品のリサイクルなどで地球環境に貢献している反面、負荷をかけている面もあり、そこに大きな危機感を持っています。
一つは飼料製造時に排出されるCO2です。メーカーである以上避けては通れない課題なのでしょうが、当然たくさん作ればそれだけ多くのCO2が排出されます。販売数量をKPIとする私たちには少しジレンマな部分ではあるのですが、従来より効率の良い(少ない量で良く育つ)飼料の開発・販売には取り組んでおり、これはCO2排出量削減にも寄与するものです。
もう一つは家畜の消化器官から排出される温室効果ガスです。こちらは世界的な課題でニュージーランドが「げっぷ税」の導入を検討していることも大きな話題となりました。私たちも科学的な知見に基づいてメタンガス排出削減に寄与する飼料の開発に注力しています。
時間がかかる課題ではありますが、社会的意義は高いと思っておりますので積極的な投資も含め、取り組みを進めていきたいと思っております。

手前味噌ですが、私はフィード・ワンのロゴマークが大好きなんです。大地・海・太陽を表現した3つの色が表れています。このロゴを街中で見かけたとき、特に神奈川県の皆さんに「あ、フィード・ワンだね」と言ってもらえるようになりたいですね。

私たちの商品はほとんどが対企業のBtoBです。私たちは配合飼料メーカーですが、皆さんの「おいしさのみなもと」にある会社です。良い製品もありますし、良い取り組みもたくさんしていると自負しています。フィード・ワンという存在や取り組みを世の中の皆さんにもっと知っていただけるといいなと思いますね。

インタビューの様子
  • インタビュー内容は2022年11月の取材に基づいています。記事内容および所属は取材当時のものです。
  • 対談は、新型コロナウイルス感染症対策を徹底したうえでおこなっています。写真撮影時のみ、マスクを外しています。

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