仕事に無駄はありませんか? 業務効率化で解決する人手不足

公開日:2025年6月19日

「人手不足で業務が回らない」「従業員が疲弊していて、離職率が高い」「コストが削減できず、利益が伸び悩んでいる」こんなお悩み、あなたの会社でもありませんか。それは業務に無駄が潜んでいるサインかもしれません。
解決の鍵は業務効率化です。限られたリソースを最大限に活用し、生産性を高めることで課題を克服できます。本記事では、業務効率化のメリットとその手法を解説します。

中小企業の48.5%が「人材の確保・採用・育成」に課題

昨今、人材獲得競争が激化し、中小企業にとって人手不足が大きな課題となっています。神奈川県内の中小企業・小規模企業2,600社を対象にしたアンケート「令和5年度神奈川県中小企業・小規模企業経営課題等把握事業結果」によると、現在重視している経営課題は「人材の確保・採用・育成」が48.5%でトップです。

[現在、重視している経営課題について、お聞かせください。(複数回答)]業種・業態の転換 9.6%、仕入先の開拓 12.0%、仕入価格・原材料費の上昇に対する価格転嫁 27.5%、販路開拓・販売促進への対策 34.4%、製品開発など新事業展開への取組 12.4%、製造工程・サービス提供工程の効率化・省力化 6.9%、IT化・DXへの対応 13.2%、機械設備等の老朽化・更新、設備投資への対応 14.3%、最低賃金・人件費上昇への対応 27.1%、人材の確保・採用・育成 48.5%、後継者の確保による事業承継対策 19.5%、資金繰りや資金調達 25.6%、借入資金の返済 17.9%、海外展開や外国人願容への対応 2.0%、競争商品や他社との差別化戦略 9.0%、脱炭素化への対応 1.9%、災害時等の危機管理体制の構築 3.2%、サイバーセキュリティ対策 3.8%、キャッシュレス化への対応 3.8%、その他 2.9% 神奈川県「令和5年度 神奈川県中小企業・小規模企業経営課題等把握事業結果」 P.5 より引用および作図

しかし、このような厳しい状況下では求める人材を獲得できるとは限らず、採用活動だけでは課題の解決が難しいのも事実です。加えて、働き方改革関連法の施行により残業の削減や有給休暇の取得促進が求められ、限られた時間で効率的に業務を遂行しなければなりません。

こうした背景から、業務効率化の重要性は日々高まっています。

業務効率化がもたらすメリット

業務効率化は人手不足の解消にはもちろんのこと、企業の成長や従業員の満足度向上にも寄与します。

生産性の向上による人手不足解消

業務効率化を進めると、限られた人員で効率的に成果を上げられます。
例えば、日々のデータ入力や集計作業といった定型業務を自動化することで、毎日1時間以上かかっていた作業が数分で完了します。手動入力にともなう人的ミスが減り、業務の質の向上も期待できるでしょう。加えて、これまで時間を割けていなかった、新商品の企画業務やメンバーの育成などに注力できます。
また、離職防止にも効果的です。人手不足が原因で業務量が増え疲弊し、従業員が離職するケースは少なくありません。負担が軽減され定時退社が可能になれば、家族との時間や自己研鑽の時間が増え、従業員満足度の向上につながるでしょう。

コスト削減による経営安定化

業務効率化は、現場の負担軽減だけでなく、企業のコスト削減にもつながる施策です。業務で使用する書類を電子化すれば、印刷代や紙のコストを削減できます。また長時間労働の改善により、残業代等の人件費を抑えることも可能です。コスト削減によって利益が創出されれば、経営の安定化がはかられ、新たな施策を検討するための基盤が整います。

まずは業務プロセスの見直しから

実際に業務効率化を進める際には、事前の整理が重要です。やみくもに進めると余計な混乱を招く恐れがあります。

業務プロセスの明確化

まずは業務の見える化をおこない、無駄な工程や業務がないかを見極めます。フローチャートやプロセスマッピングを用い、業務プロセスを段階ごとに図示し、どの作業がどの順序で進められているかを確認しましょう。

その際、現場のスタッフや関係者にヒアリングし、業務の詳細や実際の運用状況を把握することが重要です。「どのタスクにどれだけ時間がかかるか」「どんなツールや方法を使っているか」など、可能な限り詳細に整理します。業務開始当初から運用方法が大きく変化していることも多く、マニュアルどおりの運用がされていると想定し進めると作業のやり直しが発生する可能性があります。

業務の問題と無駄を見逃さない4つのポイント

続いて収集した情報をもとに、業務の無駄を洗い出します。
次のようなポイントに注意すると、問題が見つけやすいでしょう。

重複作業の確認

同じ情報を何度も入力する作業や、複数部署でおこなっている類似の業務がないか確認します。

待機時間の分析

作業が進むまでに発生する待ち時間を特定します。承認プロセスが遅い、ツールの応答が遅い等が該当します。

価値を生まない業務の洗い出し

過剰な報告書作成、不要な会議など顧客や事業に直接的な価値を生まない作業を特定します。

ボトルネックの特定

業務の流れが滞るポイントを見つけます。例えば、1人の担当者が複数の重要なタスクを抱えすぎているケースなどがあげられます。

問題の数が多くすべての対応が難しい場合は、アイゼンハワーマトリクス(タスクを緊急度と重要度で整理し重要なタスクを特定する)を用いた分析や、ROI(投資対効果)、実行可能性などの基準で評価し、優先度を決めましょう。

業務を改善する3つの手法

取り組むべき課題を明確にした後に、具体的な改善策を検討します。ここでは、効率化に役立つ3つの手法をご紹介します。

1.業務の簡素化・省略

業務効率化には、不要な工程や形骸化した業務の見直しが欠かせません。プロセスを見直し複数の部署で同じデータ入力や報告作業を実施していることが発覚した場合、業務の統合やシステムの導入を進めましょう。会議の頻度を減らす、オンラインでの情報共有に切り替えるなど、業務自体の省略も有効です。

2.アウトソーシング(外部委託)

アウトソーシング(外部委託)の活用も、業務効率化のひとつの手段です。外部の専門家に業務を委託すると、従業員は自社のコア業務に集中できます。情報システム、総務、人事、財務・経理、購買といったバックオフィス分野での利用が一般的ですが、ウェブデザインやマーケティングといった専門業務の外部委託サービスもあります。

高いスキルを持つ人材を直接雇用する必要がないので、相対的に費用を抑えられる可能性があります。また、委託先の技術やノウハウの習得も可能です。

委託する際には、お互いの明確な業務の切り分けが重要です。「依頼したはずの業務がおこなわれていない」などのトラブルにつながりかねないため、業務内容を明文化し、自社と委託先の業務範囲をしっかりと区切りましょう。

3.ITツールの導入

ITツールの活用は、従来アナログでおこなわれていた作業を自動化し、業務効率を大幅に向上させます。企業が多く導入するおもなツールとして、データ入力や集計などの定型作業を自動化できるRPA(Robotic Process Automation)や、インターネット上にデータを保存し共有するクラウドストレージなどが挙げられます。

また、効率化の第一歩として、負担が大きい経理業務の改善を検討してみてはいかがでしょうか。インターネットバンキングの導入はその一例です。銀行の窓口でおこなっていた振込や支払いを社内で手軽に処理でき、移動時間を短縮できます。加えて、店舗より手数料が安い場合も多く、コスト削減にもつながります。

まずは経理業務の効率化から始めてみよう

業務の効率化は、人手不足の解消や従業員の満足度向上、さらには企業の成長に直結する重要な取り組みです。特に中小企業では現場の声を迅速に反映できる場合も多く、業務効率化が比較的スムーズに進む傾向があります。

まずは小さな取り組みで業務効率化の効果を実感し、次のステップへ進む足掛かりを築きましょう。

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