はまぎんパートナーズ・ストーリー03 – 内外液輸株式会社

従業員の生活を
守りながら、
業界の健全で持
続的な発展に
寄与したい。
右から伊藤保義会長、伊藤貴康社長、高橋(横浜銀行)

暮らしに欠かせない化学品やエタノールなどの液体の
輸送サービスを展開する内外液輸株式会社
(川崎市川崎区)は、政府の命を受けて設立された会社を
ルーツに持つ創業60年の老舗企業です。
システムエンジニアのキャリアを捨てて家業を
継ぐ決断をした伊藤貴康氏には、
規制の多い業界や従業員たちへの
想いがありました。

今回のソリューション「テーラーメイド融資による企業支援」を見る

「今日も東へ西へ。暮らしに欠かせな
い化学品を運ぶプロフェッショナル」

どのような事業をおこなっている会社なのか、お聞かせください。

伊藤社長 私どもは、タンクローリーで液体を運ぶ運送事業をおこなっている会社です。液体といっても、壁紙や絨毯、車のダッシュボードなどの工業製品に使われる液体原料や、あとは皆さんもよく飲まれるお酒の原料であるエタノールといった、扱いとしては「危険物」と呼ばれるものをおもに運んでいます。

会社の設立は1963年(昭和38年)ですが、その頃と運んでいるものは一緒なのでしょうか。

伊藤会長 基本的に当時も化学品やアルコールがメインでしたね。もともと私どもの会社は、横浜の鶴見にある内外輸送株式会社の自動車課が源流なんです。内外輸送は、日本政府による要請を受けて1938年(昭和13年)に創業した「アルコール輸送株式会社」を前身とする会社です。その頃は戦時中ですから、海外からの液体燃料の輸送が困難になることが予想され、国内でアルコールの流通管理体制を確立することが急務だったのです。そして戦後、困難な時期を乗り切り、広く内外に発展するようにとの期待を込めて「内外」という社名に改称したと聞いております。

内外液輸株式会社 伊藤 保義 代表取締役会長イメージ

代表取締役会長

伊藤 保義 (いとう やすよし)

1946年生まれ。1989年、内外液輸株式会社に入社。1998年、代表取締役社長就任。2017年に大阪内外液輸株式会社を子会社化するなど、同社の発展に尽力。2023年より現職。一般社団法人神奈川県トラック協会常任理事、「トラック輸送における取引環境・労働時間改善地方協議会」委員を務める。

「祖父の代からの家業を継ぐことを決断。でも、一筋縄ではいかなかった」

伊藤社長は、運送業界に身を置く前はIT業界でエンジニアとして活躍されていたとうかがっております。
どのような経緯で異業種に転身されたのでしょうか。

伊藤社長 私は大学を卒業して大手の通信会社のグループ会社に入りまして、金融系のシステムを安定的に運用するためのエンジニアとして働いていました。しかし私はどちらかというとシステムを設計することに興味があり、出向していた会社から転籍の話をいただいて、私も転籍するつもりでいたんですね。しかし大きな会社に属しているからこその社内的な圧力があって、それがうまくいかなくなってしまったんです。そこで一旦立ち止まって、今後のキャリアを考えて転職活動をしようとした時に、 内外液輸株式会社 インタビューイメージ 自分の祖父が始めて、それを引き継いだ父が切り盛りしてきた当社のことを、ふっと考えたんですね。自分は元々は会社を継ぐつもりもなかったですし、周りから「継いで欲しい」みたいな空気もなかったのですが、このまま父の代で会社が終わってしまっていいのかなと思いまして。それなら一回会社に入ってみて、ダメならまたその時に考えればいいか、といった軽い気持ちで運送業界に飛び込んだというのが正直なところです。それが今から20年前のことです。 内外液輸株式会社 インタビューイメージ 伊藤社長が入社した当初のエピソードなどあれば、
お聞かせください。
伊藤社長 率直に言いますと、まったく別の星に来てしまったような感覚でしたね。私は理系の人間なので、論理的に話をするのが普通というか、きちんと段階を経て物事を進めていくのが当たり前だと思っていたのですが、そうではなく感情が先に来てしまう人も中にはいるわけですよ。ずっと働いている従業員にしてみれば、「それはそうだけどお前には言われたくない」みたいなね。だからそこからは、正論じゃなく気持ちでわかってもらえるよう努力しましたよ。衝突もたくさんありましたが、本音で話したり、相手の話をよく聞くようにしたら、だんだんこちらの気持ちを理解してくれる人が増えていって。すると社内の雰囲気が良くなり、仕事もスムーズに回るようになったということはありましたね。

内外液輸株式会社 伊藤 貴康 代表取締役社長イメージ

代表取締役社長

伊藤 貴康 (いとう たかやす)

1975年生まれ。新卒で大手通信会社のグループ会社に入社し、約10年間システムエンジニアとして経験を積む。2008年、祖父の代からの家業である運送業を継ぐことを決意して内外液輸に入社。2023年12月、代表取締役社長に就任。

「経営承継のタイミングで、ニーズに合った提案をしていただきました」

今回横浜銀行から内外液輸様に、向こう2年間分の運転資金として「テーラーメイド融資」をご提案しました。
ただこれまでは、横浜銀行とのお取り引きはほとんどなかったそうですね。

内外液輸株式会社 インタビューイメージ 伊藤会長 もともとうちは、大株主の関係で他行がメインバンクだったんですよ。ただ好況不況の波がある中でさまざまないきさつがあって、ひとつの銀行に借り入れを集中するのは好ましくないと思うようになりましてね。しばらくはメインバンクを決めずに、借り入れ先を複数に分散していたんです。その後、地元の団体の会合の繋がりで横浜銀行さんをご紹介いただく機会があって、徐々にお付き合いが始まっていったということです。 内外液輸株式会社 インタビューイメージ

高橋(横浜銀行) 私が担当になったのは今から2年前で、そこから最初の1年間はほとんどが雑談というか、私自身のことを知ってもらったり、逆に内外液輸様のことや運送業界などの現状のお話をお聞きしたり。そういう日々の会話の中で内外液輸様にはこういうニーズがあるかもしれない、と当行ができるソリューション提案をさせていただいていました。 伊藤社長 高橋さんは本当に頻繁にうちの会社の担当者のところに来られていて、私はいつも同席するわけではなかったのですが、気づいたらいらっしゃるという印象でした。1時間くらい何をそんなに話し込んでいるんだろう?と思うようなこともよくありましたね。そうしているうちに、融資の提案があるので一度話を聞いていただけないかということになったんです。 高橋(横浜銀行) 日々いろいろお話をさせていただく中で、2024年に労働基準法が改正されて、トラックドライバーの時間外労働時間が制限されることに悩んでいらっしゃることがわかりました。ただ、労働環境が激変する業界の中で、内外液輸様はしっかり人員も確保され、独自に労働環境も整理されていて何の問題もないと思っていましたので、最低限の資金需要のニーズはあるものの、今回のようなテーラーメイドの融資までは正直必要ないのかもしれないとも考えておりました。
それでもその後伊藤会長ともお話をした時に、2024年問題を踏まえてやはり先行きが見通しづらいという不安な想いをお聞きしまして、また貴康社長に経営を引き継がれるタイミングでもありましたので、地元の銀行として何か寄り添ったお手伝いができないかと考えました。そこで、先行きが不透明なことに備えるため、当面の運転資金についてすぐにご融資するわけではなく、あらかじめ融資枠をご用意していつでもお借り入れできる状況を設けておくことこそが内外液輸様にとってベストな形のご融資なのではないかと思い、社長が交代されて落ち着くまでの間の2年分の運転資金を確保し、資金繰りのご不安を解消するテーラーメイドの融資をご提案しました。
横浜銀行からの提案を受けて、伊藤社長としてはいかがでしたか? 伊藤社長 今回の融資は、資金の枠を確保しつつもうちが必要なタイミングで借り入れが可能な仕組みをテーラーメイドで作っていただいたわけですから、万が一の状況になっても安心できるというのはとてもありがたいなと。それが昨年の12月で、ちょうど私が社長になったタイミングでファイナンスの面では手探りでもあったので、非常にいい提案をいただいたと感謝しております。ただ、どんなにいい提案でも最後のフィルターは「人」ですから、高橋さんが本当に我々の経営上の不安や課題に真摯に向き合ってくださったことが、こちらの気持ちを動かしたということが大きかったですね。そこは、この会社に入ったばかりの頃に私が苦労したことにも通じるものがあると感じます。

横浜銀行 川崎支店 法人渉外課 高橋 直矢 課長代理イメージ

横浜銀行 川崎支店
法人渉外課 課長代理

高橋 直矢 (たかはし なおや)

2016年横浜銀行入行。小田原支店、新横浜支店を経て2022年10月川崎支店へ着任。お客さまに対して幅広いソリューションの提案ができる行員を認定する横浜銀行の行内認定制度、シニア・ソリューション・コンサルタント(通称SSC)に認定されている。

「業界のため、従業員のため、
果敢に次の一手を模索していく」

2024年問題を始め運送業界が抱える現状の課題を踏まえ、今後横浜銀行とどのような関係を
築いていきたいとお考えでしょうか。

伊藤社長 今回、向こう2年間分の運転資金のご協力をいただいたけわけですが、2年という期間もおそらくあっという間に終わってしまいます。ただ横浜銀行さんとは高橋さんを通じて良い関係を築くことができましたので、ぜひ今後もそれを維持していきたいと思っています。
内外液輸株式会社 インタビューイメージ また私も会社の今後の方向性を改めて模索し、次の一手を打つためにコンサルタントやいろいろな方からお話を聞いたりしています。何かと規制の多い運送業界ですが、我々若い世代の経営者が何とか知恵を出し合って、困難な状況を打破していきたい。そしてなにより私についてきてくれる従業員たちの生活がかかっていますから、彼らの労働時間と収入のバランスをうまくとって定着率を高め、次の10年も20年も生き残っていく努力を続けていきます。そのためには今後の資金も大切です。融資していただく銀行さんの協力も必要ですので、ぜひ高橋さんを始め横浜銀行さんには、これまで以上にお力添えいただきたいと思っております。 内外液輸株式会社 インタビューイメージ
高橋(横浜銀行) 私は、内外液輸様は伊藤社長の下でこれからも着実に成長していかれると確信しております。そのためのさまざまなご支援やさまざまな情報をご提供していきたいと思っています。とかく、「銀行は雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸す」と言われますが、万一の時は、しっかりと“傘をお貸し”できるよう、密にコミュニケーションをとって「また高橋が会社に来ている」というような場面を今後も作っていきたいと思いますし、それが私自身にできることでもあります。伊藤会長、貴康社長、これからも引き続きよろしくお願いいたします。

※インタビュー内容は2024年12月の取材に基づいています。記事内容および所属は取材当時のものです。

今回のソリューションテーラーメイド融資による企業支援

テーラーメイド融資による企業支援

解説 今回の図下・「テーラーメイド融資」は、あらかじめ合意された期間や融資限度額の範囲内なら取引先が求める自由なタイミングで小分けに借り入れが可能で、しかもその都度の審査が不要。借り入れを実行したあと、残りの借り入れができないといった不安がなく、また不要な利払いをできるだけ抑えた最適なスキームを構築しました。

企業情報

会社名
内外液輸株式会社
代表者
代表取締役社長 伊藤 貴康
所在地
川崎営業所:川崎市川崎区塩浜4-1-1 川崎貨物駅内
創業
1963年
事業内容
化学品・アルコール類の輸送業務

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