ツヅク、ツナゲル プロジェクト - 間瀬なのは(ブレイキン)

ツヅク、ツナゲル

NANOHA MASE 間瀬なのは

近年高い盛り上がりを見せる『ブレイキン』は
1対1のバトル形式で交互に激しいダンスを繰り広げ
オリジナリティや技術、表現力、完成度を競い合う
ヒップホップカルチャーが起点のダンススポーツ。

横浜市在住の現役の高校生でありながら
ブレイキンのトップランカーでもある間瀬なのは。
「好き」をエネルギーに終わりのないブレイキンの世界へ
挑戦し続ける、その理由について伺いました。

Challenging Story

Interview

フルバージョン掲載中

Story 01 “できない” を “できる” にしたい

間瀬なのは

ブレイキンをはじめたきっかけは?

ヒップホップダンスは小学校の1年生〜5年生くらいまでやっていたんですけど、その時のヒップホップの先生がはじめて *バトル っていうものをやって見せてくれたんですよ。それがきっかけでどこかでやっているバトルの大会に出てみようと思って来たのが このダンススタジオ WAAAPS でした。

* DJが選んだ曲に合わせて、対峙するダンサーが交互に自身の踊りを見せ合い勝敗を決める。即興性が高く、事前に振り付けが決まっているショーケースとは異なる。

ここではいろいろなジャンルのダンス体験ができるというので、普段やっているヒップホップではなくて違うジャンルをやってみたいなと思って選んだのがブレイキンでした。理由としては、はじめてすぎて何もできなかったんですけど、「できなかったこと」がすごく自分の中では楽しくて、「あ、この “できない” を “できる” にしたい」と思って、「この今までやったことのないブレイキンをやりたい」と思ったのがきっかけですね。帰り道で父親と「なのは、どうする?ヒップホップやる?」と話していたんですけど「いや、ブレイキンやる」と伝えました。

ブレイキンって本当に難しいんですよ。今までやってきたダンスと比べて、原理がわからないというか。どうしたらあの動きができるんだろうって、見ても1回ではわからないというか。すべてが新しくて。努力して毎日毎日練習していかないとできないもの、その日の練習を楽しみに今日学校がんばろうって思うくらいにブレイキンが好きだし、もう生活の一部というか。起きて歯を磨くのと同じくらい日常的で、もうなにか⋯離せないというか、私のからだの一部くらいに思っています。

Story 02 誰の真似もしたくない

間瀬なのは

間瀬選手が思うブレイキンの魅力は?

*ブレイキンは本当に一人ひとりの個性が輝けるものなのだと思っています。同じことをしていても全員違う動きに見えるんですね。基本のステップでも、この人はこういうダンスをするんだ、あの人はこういうダンスをするんだっていう、それぞれの個性を楽しみながら、次にどんな動きが出るのか、それをワクワクして見れるのがブレイキンの良さなのかなって思います。

誰の真似もしたくないっていうのはブレイキンをやっている人はみんな思っていると思うので、あの人よりも自分のこの動きがいいなとか、あの人よりも自分の形がきれいだなとか、まわりと違うことが評価の対象にもなってくるので、それは私も練習で追求しているところです。

*近年、正式なスポーツ競技として盛り上がりを見せる『ブレイキン』。もともとは70年代のニューヨークで生まれたストリートのカルチャーだ。

Story 03 言葉なんて関係ない

間瀬なのは

画像提供:公益社団法人日本ダンススポーツ連盟

バトルの面白さや醍醐味を教えてください。

相手が前に立った瞬間に気持ちがぶぁ〜っとあがってくるんです。もちろん勝ちたいという気持ちもあるし、その人よりもいいダンスをしたい。練習でしている動きよりもいい動きが出ることがあります。

私が踊っている時の相手の顔を見ていると、すごく挑発してくる人もいれば、逆に待っているクールなタイプの人もいるんです。じゃあこの人は表面には出さないけど何か見えない燃えるものが中にはあるんだなとか⋯、会話していなくても相手の性格とか、ああこのタイプねみたいなことはバトルしていて感じますね。

勝っても負けても相手にはリスペクトの気持ちを送っているし、「ありがとうございました」というあいさつは自分の中で約束事になっていますね。言葉は通じなくても「ありがとう」ってこの一つの握手ですごく心もつながった気持ちになるというか、心の距離が縮まる感じがします。

Story 04 追求する限り終わりのないブレイキン

間瀬なのは

間瀬選手にとってのオリジナルとは?

「ほかの人だったら、こっちいかないよな」というのはオリジナルな動きをつくるときに大事にしている部分かなって思います。最近の流行りだったらこっちいくよなと思ったら、そっちじゃない方にいくというか。いつもなら膝つけちゃうけど、今日は肘つけてみようとか、どうやってその動きまでいくかっていうところを変えていくだけでもすごくいろんなバリエーションができるので、オリジナルな動きに関してはすごく無限にあるものなんじゃないかなって思います。

めざしている人や憧れの人はいますか?

ブレイキンの中でこういう人憧れるなとか、「この人が師匠」っていうのは作らないようにしています。やっぱりその人に憧れてしまうと、その人のダンスをすることが最終ゴールになってしまうと思うんですよね。世界をめざしていきたいとか、世界チャンピオンになる上で、憧れる存在がいると、一番になれないと思います。

間瀬なのは

Story 05 練習の成果が報われた瞬間の喜び

間瀬なのは

ブレイキンをやっていて嬉しい瞬間は?

やっぱり練習中にオリジナルの動きとか、自分にしか出せない動きが生まれた時が嬉しいですね。「これやったの私が初めてじゃない?」って、思う動きができた時はすごく楽しくて。その一つの動きを作るのに何週間も何か月もかかっている場合もあるので、その動き一つができたときは嬉しいなって思うのと⋯。あとはやっぱりバトルで勝つことはもちろん嬉しいし、優勝したときは努力が報われたという気持ちになるんですけど、それ以上に今まで練習を続けてきた動きとか、みんなに見せたかった動きが本番でしっかり出せた時、しかもみんなから「いいね」とか「その動きよかったね」「ナイスアイデア」って言ってもらえるとめっちゃ楽しいって思いますし、嬉しい気持ちになりますね。

ブレイキンを続けていてツラい時はありますか?

結果が思うように出なかった時とか、みんなが応援してくれているのに調子があまり良くないなっていうのはあるんですけど、そういう時は「つまらない」というか「何が楽しいんだっけ」という風に思って、自信がなくなります。今までの練習内容でいいんだっけ⋯とか、このまま続けても勝てないだろうなとかって、自分の中で思い込んでしまうんですよね。でも、そういう時はいろんな人に会いに行って一緒に練習をしたり、練習内容を変えて次の結果につなげています。

Story 06 仲間がいるから続けられる

間瀬なのは

それでも続ける理由は?

続けていく上で大事なのって『仲間』の存在だと私は思っていて。自分のツラい時に頼れるのは仲間だし、嬉しいときに一緒に分かち合えるのも仲間だと思うので、仲間を大事にすることはブレイキンを続ける上で大切にしたいなと思いますね。

それにブレイキンって掘っても掘っても魅力が出てくるというか、奥が深いし、若くても歳を重ねても、その人なりの魅せ方ができるから、限界もないし、終わりもないから続けられるんじゃないかなって思います。

今後の目標を聞かせてください。

今後は日本だけじゃなく、世界を飛び回って、いろんな国でダンスをしてたくさんの人に知ってもらいたいというのが自分の中の最終目標としてあります。それと、いまスポーツとして『ブレイキン』という競技が輝いているなっていう風に私も思うので、スポーツとしてのブレイキンも、もともとストリートから生まれたカルチャーとしてのブレイキンも、どちらもやりたいし、どちらの良さも忘れないで楽しみながら続けていけたらと思います。

Story 07 勝てない自分もずっと好きでいて

間瀬なのは

挑戦し続ける人へメッセージを。

私はブレイキンをはじめてまだ5年だし、まだ全然経験値がない中なんですけど、ブレイキンを途中で辞めてしまう人もたくさん見てきました。「勝てない」とか「ツラい」とかそういうことで悩むと諦めたくなることもあると思います。でもやっぱり根本的には楽しんでやることだと思います。自分がなぜ楽しいのか。なぜそれを好きなのかというのを大事にして、なにかこう⋯「勝てない自分」も好きでいられるようにいてほしいなって思います。

Profile

ブレイキン間瀬なのは(16)

2007年、神奈川県生まれ。6歳からヒップホップダンスをはじめ、12歳からブレイキンに転身。わずか2年でキッズ日本一の称号を掴み取る。横浜市在住の現役の高校生でありながら、近年高い盛り上がりを見せるブレイキンのトップランカー。

PHOTO GALLERY

  • インタビュー内容は2024年1月の取材に基づいています。記事内容および所属は取材当時のものです。
  • 取材は、新型コロナウイルス感染症対策を徹底したうえでおこなっています。

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