2023.09.29

おさえておきたい「資産形成」のコツ。制度や種類を解説!

監修
FP相談ねっと 山中伸枝
執筆
黒木るみ
更新
2023年9月

ライフプランとは自分の将来を考える人生の設計図です。長い人生の中では結婚、住宅の購入、子どもの大学進学などライフイベントごとに大きなお金が動きます。しかし、すぐにはお金を用意できない場合もあるため、時間をかけて計画的に準備したほうがよいでしょう。
この記事では、「資産形成」の必要性やコツ、おすすめの制度について解説します。自身のライフイベントのためにお金を用意する際の参考にしてください。

ライフプランと「資産形成」の必要性

「資産形成をしましょう」というと難しく聞こえるかもしれません。しかし、毎月銀行の預金でお金をためることも立派な資産形成のひとつです。「資産形成」とは現金・預金・保険・投資信託・株式・債券・不動産など種類を問わず、お金に換金できる財産(資産)を作り上げること(形成)をいいます。

資産形成の種類はおもに「貯蓄」と「投資」の2種類に分けられます。「貯蓄」は銀行に預ける預金など、必要な時にすぐ引き出すことができる流動性の高さが特徴です。日常生活のための資金や緊急時の予備費など、一定の金額をそなえることが必要です。

対して、「投資」とは、株式や投資信託などで長期間にわたって資産を増やしていくことです。今すぐ必要なお金ではなく、教育資金や老後資金など、将来必要となるお金のそなえに向いています。投資は預金と違って、すぐに引き出すことができません。一旦売却することで現金にして引き出すため、流動性は低いです。

毎月銀行の預金で資産をためることも資産形成ですが、低金利が続いており、貯蓄だけで資産を作っていてはなかなか増えません。そのため、お金を増やすことを目的とするならば、投資で資産形成をするという選択肢があります。

おさえておきたい「資産形成」の3つのコツ

上手に資産を形成するには、コツをおさえてから始めることが大切です。ここでは、投資期間や分散投資、積立投資といった投資のコツについて解説します。

1つ目のコツ「長期投資で複利の効果を得る」

1つ目のコツは、中長期的に投資を続けることで、「複利」の効果を得ることです。複利効果とは、運用で得た利益を当初の元本にプラスして再び運用に回すことです。
「複利」の反対は「単利」です。「単利」とは、運用で得た利益を元本にプラスせずに毎回受け取り、当初の元本の金額のままで運用する方法です。
「投資期間」と「複利」の効果には関係があり、投資期間が長いほど、複利効果も大きくなる傾向があります。

投資期間と複利効果の関係 例:投資リターン(投資収益率)を年10%と想定した場合 [1年後]その年の投資元本100万円 その年の投資成果10万円 計110万円 [2年後]その年の投資元本110万円 その年の投資成果11万円 計121万円 [3年後]その年の投資元本121万円 その年の投資成果12万円 計133万円 [4年後]その年の投資元本133万円 その年の投資成果13万円 計146万円 [5年後]その年の投資元本146万円 その年の投資成果15万円 計161万円 [6年後]その年の投資元本161万円 その年の投資成果16万円 計177万円 [7年後]その年の投資元本177万円 その年の投資成果18万円 計195万円 [8年後]その年の投資元本195万円 その年の投資成果19万円 計214万円 [9年後]その年の投資元本214万円 その年の投資成果21万円 計236万円 [10年後]その年の投資元本236万円 その年の投資成果24万円 計259万円 (投資期間が短いと複利効果は小さい 投資期間が長いと複利効果も大きくなっていく) 10年間、投資成果を投資元本に組み入れなかった場合:投資元本100万円 投資成果の合計100万円 計200万円(約60万円の差)

金融庁ウェブサイトをもとに当行で作成

2つ目のコツ「分散投資でリスクを小さくする」

投資の世界における「リスク」とは、日常生活で使う「危ない」という意味ではありません。「リスク」とは結果が不確実であることを意味します。つまり、「リスクが大きい」とは、リターンの振れ幅が大きいことを意味します。

大きなリターンを期待すると、期待通りに大きな利益が得られる可能性もありますが、逆にリスクが大きくなり、大きな損失を出す可能性も上がります。

できれば、リスクは小さくしたいと考える方は多いでしょう。分散投資はリスクを小さくする方法の1つといえます。分散投資には、株式や債券などの資産クラスを振り分ける「資産(銘柄)の分散」、投資先の地域を国内、先進国や新興国に振り分ける「地域の分散」、一度に多額の資産を投資するのではなく、タイミングをずらして複数回に分けて投資する「時間(時期)の分散」の3つの分散があります。

分散投資することでリスクを小さくして、安定したリターンを得られる可能性が高まります。

分散投資の例 [資産(銘柄)の分散]特性の異なる複数の資産を組み合わせる [地域の分散]複数の地域や通貨を組み合わせる [時間(時期)の分散]価格が高いときに少なく購入、価格が安いときに多く購入

金融庁ウェブサイトをもとに当行で作成

3つ目のコツ「積立投資で購入価格を平準化する」

毎月定額で投資する積立投資という方法があります。積立投資は、「時間(時期)分散」の方法でもあります。毎月一定の金額で買うと、価格が高い時は少なく、価格が低い時は多く買うことができるため、購入単価を平準化することができます。

「資産形成」で活用したい2つの制度

資産形成をおこなう上で、おすすめの制度を2つ解説します。これらの制度を活用して、上手に資産を増やしていきましょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

公的年金だけでは、老後の生活は厳しいものとなります。iDeCoとは、公的年金の上乗せとして、税制上のメリットを受けながら、老後資金をためたい人の資産形成をサポートするためにつくられた私的年金制度です。

任意に加入後、自分で掛金を決めて毎月積立し、長期間運用します。原則60歳まで掛金を引き出すことができないため、ライフイベントを考慮したうえでiDeCoを活用しましょう。

NISA

NISAとは、2014年1月からはじまった、家計の安定的な資産形成を支援する制度です。2024年1月スタートの新制度では、投資から得られる利益が非課税となる期間が無期限となるなど、従来の制度からメリットが拡大しています。

通常は、投資で利益が得られたら20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかりますが、NISAやiDeCoについては非課税となります。NISAでは、2024年1月以降、非課税となる投資枠は毎年360万円までとなります。この投資枠内で投資をおこなって得られた利益は非課税です。また、必要な時は解約することができます。

まとめ

資産形成の方法には「貯蓄」と「投資」の2種類があります。どちらの方法を選択するかは、資産を形成する目的やライフイベントから検討するとよいでしょう。iDeCoやNISAのような制度も活用しつつ、わからないことは専門家や身近な金融機関に相談するなどして、上手に資産形成に取り組みましょう。

2023年9月の法令等に基づき更新

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