2023.09.29

人生100年時代 年金の受取時期は何歳からにしたらいいの?

提供
株式会社ZUU
更新
2023年9月

「人生100年時代」と呼ばれる今、60歳の定年を過ぎても働く人がたくさんいます。さまざまな選択肢がある中で、老齢年金の受取開始時期は60歳から75歳の間で自由に選択することができるのをご存じでしょうか。通常は65歳から年金を受け取れるようになりますが、65歳よりも早く受け取れる「繰上げ受給」と65歳を超えてから受け取る「繰下げ受給」制度があります。それぞれどのような内容なのか、確認してみましょう。

年金の「繰上げ受給」って?

まず、年金の繰上げ受給について確認しましょう。これは、年金受給資格を持った人が請求すれば65歳を待たずに60歳から65歳の間でも年金の受け取りを開始することができるという制度です。ただし、年金の繰上げ受給を請求した場合、平均寿命から見るとトータルの年金受給期間が長くなるため、一生涯毎月の受取額が少なくなってしまいます。また、障害基礎年金や寡婦年金などの受給資格を失ってしまうので注意しましょう。

年金の繰上げ受給についてもう少し深く確認してみます。なお、1962年4月2日以降に生まれた人と1962年4月1日以前に生まれた人では年金の減額率が異なります。

1962年生まれで2022年に60歳になる男性が繰上げ受給をすると、請求した月から65歳の誕生日を迎える前月までの月数の0.4%分が減額率になります。例えば、60歳になった直後(60歳0か月)に請求すると「0.4%×60か月」で「24%」の減額率となります。なお、この例では、民間企業に勤務していた男性が、老齢厚生年金、老齢基礎年金を繰上げ受給する場合を想定しています。

年金の「繰下げ受給」って?

次に「繰下げ受給」について一緒に確認しましょう。年金の繰下げ受給は、本人が希望すると66歳以降から年金を受け取れる制度で、65歳より受取開始時期を遅らせる分、毎月の年金受給額が多くなります。1952年4月1日以前に生まれた方は、70歳まで、1952年4月2日以降に生まれた方は、75歳まで繰下げることができます。

なお、2023年4月からは、70歳到達後に繰下げ申出をせず年金請求をした場合、さかのぼって年金を受け取ることを選択しても、請求の5年前の日に繰下げ申出したものとみなされます(特例的な繰下げみなし増額制度。なお、5年以上前の年金金額は時効により受給することができません)。

計算方法は、65歳に達した月から繰下げを申し出た月の前月までの月数に0.7%を乗じます(※)。例えば、66歳0か月で請求した場合は、65歳0か月から66歳0か月の12か月間が対象となる月数とみなします。増額率は「12か月×0.7%」で「8.4%」です。

この数式で計算をすると、70歳0か月の人の増額率は42.0%になり、75歳0か月の人の増額率は84.0%になります。
年金を繰下げ受給した場合、受給額が生涯にわたり増額されるというメリットはありますが、早く亡くなった場合は、65歳から受給開始していた方が、トータルの受給額が大きくなる場合もあります。

  • 1941年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金については、増額率が異なります。

人生100年時代を迎える今、老後にどう備えるべきなの?

厚生労働省が2022年に公表した「百歳高齢者表彰」についてのプレスリリースでは、住民基本台帳に基づく100歳以上の長寿の人たちは90,526人とのことです。100歳以上の高齢者が1,000人を超えた年が1981年、1万人を超えた年が1998年だと考えると、人生100年時代がもうすぐそこまできていると考えられます。

では、私たちは人生100年時代にどう備えるのがよいでしょうか。老後の生活に対して必要な備えは人それぞれの価値観によってさまざまですが、以下のような項目が大切なことだといえます。

  • 積極的に家族や地域、趣味などのコミュニティとの関わりを持つこと
  • 老後になっても活かせる能力を身につけて、社会で活躍する場やなるべく長く収入を得る手段をみつけておくこと
  • 老後の生活に備えて資産運用や資産保全の知識を身につけておくこと

年金受取額や税金がどのようになるのかを総合的に考えて、自分にとって最良だと思われる受給開始時期を選択しましょう。

人生100年時代のライフスタイルを考えよう

これまでとは異なり、ライフスタイルが多様化し、人それぞれ自分にとって最良の道を選択することができるようになってきました。年金の受け取り方も繰上げ受給や繰下げ受給などさまざまです。自分のライフプランに照らし合わせながら、今後どのような生き方をしていけばよいのかを考えてみませんか。

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