2023.09.29

ゆとりある老後を過ごすための費用はいくら?今からお金を貯められる?

提供
株式会社ZUU
更新
2023年9月

生命保険文化センターが2022年におこなった「生活保障に関する調査」によると、老後に必要な最低限の費用は夫婦2人で月額平均23.2万円だそうです。さらに、旅行やレジャー、身内とのつきあい、趣味や教養、日常生活の充実などゆとりある老後生活を営むための生活費を含めると月額平均37.9万円といわれています。安心でゆとりのある老後を送るためにはいくらお金があればよいのでしょうか。一緒に考えてみましょう。

老後に必要なお金の求め方

老後の生活費は、子どもの教育費やマイホーム費用と並び、人生の三大支出だといわれています。しかし、他の支出が働き盛りの現役時代に必要なのに対して、老後の生活費はリタイア後に必要なお金です。給与などの収入が減った後の生活を支える大事なお金ですから、現役時代からコツコツと準備しておいた方がよいお金です。

老後の生活費を準備するためには、まずは老後の必要額を計算して目標額がいくらなのかを明確にすることが肝心です。

実際にAさん夫婦の事例をもとに、老後に必要なお金を求めてみましょう。

Aさん

退職時期:60歳
退職金:2,000万円
年金受給額:年間250万円(50歳以上の場合は「ねんきん定期便」に記載されている「1年間の受取見込額」を確認)
預貯金:300万円
最低限必要な生活費:年間300万円(月25万円)
予備の生活費:年間120万円(月10万円)

Aさんは60歳で定年退職し、90歳までの30年間の老後費用を計算したいと思っています。

1.90歳までの30年間の収入額を計算

Aさんの定年退職後の収入には年金と退職金がありますが、これに現在の預貯金や有価証券などの金融資産も加えて収入とみなします。ただし、定年までに資金使途がある場合は、その分をあらかじめ差し引きましょう。

年金額×期間+退職金額+預貯金などの金融資産=収入額
250万円×30年+2,000万円+300万円=9,800万円

このように計算すると、Aさんの定年後30年間の収入は9,800万円あることが分かります。

2.30年間の支出額を計算

収入額が分かったら、次は支出額を計算します。支出額は、最低限必要な生活費、予備の生活費を分けて考えます。ここでいう予備の生活費とは旅行などのゆとりある生活を送るための費用だと考えましょう。それではAさん夫婦の支出額はどのようになるのでしょうか。

  • 必要最低限の生活費を年300万円、ゆとりある生活費としての加算額は年120万円として算出。

1年間の生活費×期間=必要最低限な生活費
300万円×30年=9,000万円

1年間の生活費×期間+予備の生活費×期間=ゆとりある生活費
300万円×30年+120万円×30年=1億2,600万円

こう考えると、必要最低限の生活を送るためには、30年で9,000万円と1億円近い金額が必要だということが分かります。

3.余裕資金があるのかを計算

それでは最後に、収入額と余裕資金があるかを確認しましょう。

収入額−支出=プラスの場合は余裕資金、マイナスの場合は不足額

最低限の生活を送る場合の余裕資金
9,800万円-9,000万円=800万円……800万円余裕がある

ゆとりのある生活の場合の余裕資金
9,800万円-1億2,600万円=▲2,800万円……2,800万円不足している

今回の例では、最低限の生活を想定した場合、800万円の余裕があることがわかります。一方、ゆとりある生活を想定した場合は2,800万円不足しているという結果です。これはあくまでもAさんの夫婦事例ですが、ご自身の場合はどうなのかをよく確認しておきましょう。

預金で老後資金を賄える?少しでも安定的にふやすならどうしたらいい?

それでは、老後資金を少しでも安定的にふやそうとするとどのような手段が考えられるでしょうか。生活に必要なお金とゆとりある資金に分けて考えてみます。

まず、生活費に充当するお金は普通預金や定期預金などの元本保証で流動性の高い商品を置き場所とするのがよいでしょう。定期預金は普通預金よりも利率が高い場合も多く、お誕生日月などに預け入れをすれば利率が高くなるものもあります。同じ元本保証の定期預金で商品性もさほどかわらないのであれば、少しでも利率が高い方がおトクかもしれませんね。日々の生活で使うお金は普通預金、半年後や1年後に使うのが決まっているお金は定期預金など、いつ頃必要になるお金なのかで普通預金と定期預金にお金の置き場所を分けるのも一案です。

一方で、ゆとりのある生活のためのお金は、不足分を補うために運用して増やす投資信託や債券などの変動商品で少しずつ積み立てることも考えてみましょう。ただし、変動商品はふえることもあれば、市況次第では価格が下がり、評価損を抱えることもあります。変動商品で資産形成をするときは、自分がどれくらい損しても受け止められるのかをあらかじめ考えておくことが大切です。

ゆとりある老後を過ごすため、今から行動をしよう

このように、ゆとりある老後を過ごすために必要な費用の計算の仕方やお金の貯め方・ふやし方について考えてきました。思い立ったが吉日ということわざがあるように、いつから始めたらよいのか悩んでいる人は、今日から始めてみませんか。今日より若い日はありません。将来のためのお金の準備は早く始めれば始めるほど、継続効果が表れます。変動商品で将来の資産形成をするのが恐いという人は、定期預金を検討するのでもよいでしょう。やれることからコツコツとスタートしましょう。

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