2024.04.11

私のお金、誰に引き継ぐ?遺産の受取人を事前に決める方法

提供
株式会社MILIZE
作成
2024年4月

遠くない将来、自身が亡くなった時に、所有していた財産は一体誰に引き継がれるのでしょうか?大切な財産を、自身の死後も大切な人に受け継いでもらいたい、そんな想いをお持ちの方に向けて、今回は「遺産の受取人を事前に決める方法」を解説していきます。

遺産とは

遺産とは、亡くなった人が所有していた全ての財産のことをいいます。一般的に、遺産というと現預金や不動産、株式などの有価証券のように、資産価値があるものをイメージされると思います。
これらを「プラスの遺産」と考えるのに対し、亡くなった人の生前の借金(クレジットカードの未払い分やローン)、滞納家賃等の負債も遺産であり、「マイナスの遺産」などと呼ばれることもあります。

ただし、遺産に含まれないものとして故人の年金受給権、生活保護受給権、養育費の支払義務などが挙げられ、これら故人に帰属していた権利や義務は消滅します。

つまり、相続人は「プラスの遺産」と「マイナスの遺産」双方を受け継ぐことになります。

遺産を相続する人の順位は、民法では下記のように定められています。

  • 常に相続人:配偶者(内縁関係は除く)
  • 第一順位:子
  • 第二順位:親
  • 第三順位:兄弟姉妹

配偶者は常に相続人となりますが、配偶者以外の遺族は相続順位が高い人が相続した場合、相続することができません。また、同一順位の人が複数いる場合(例:子どもが2人いる場合)は、その全員が相続することとなります。

ただし、あらかじめ準備しておくことで、法定相続人の順位にかかわらず、相続人を指定することができます。

遺産の受取人を事前に決める方法って?

遺産の受取人を事前に決める代表的な方法は3つあります。

  • 遺言書を作成する
  • 生命保険の保険金受取人を事前に指定する
  • 信託の仕組みを活用する

それぞれ活用方法を確認してみましょう。

遺言書作成

メリット

相続にそなえて遺言書を作成するメリットは3つあります。

  • 相続トラブルの回避につながる

相続が発生した際、遺言書がなく相続人が複数人いるケースでは、相続人の間で遺産分割協議が必要です。遺産分割協議は意見が対立し、スムーズに進まず「争続」になるケースがあります。

しかし、被相続人が生前に遺言書を作成しておけば、遺言に従って遺産分割は進められるので、相続人による遺産分割協議の必要がなくなり、相続トラブルを回避できる可能性が高まります。

  • 相続人の相続手続き負担を軽減できる

遺言書がないケースでは相続財産の全体像がわからず、相続人が相続財産を調査することになり手続きがスムーズに進まないことがあります。

しかし、遺言書には財産目録を記載することができるので、あらかじめ目録を記載しておくことで遺産に何が含まれているのかをすぐに把握できます。

また、相続人が複数人いるケースでも、遺言書で遺産の分け方をあらかじめ決めておくことができるので、遺産分割協議が不要になります。

  • 財産を渡したい人に渡せる

遺言書では、自分の意思で誰にどれくらい相続させるのかを決めることができ、法定相続人以外の人に財産を渡すことも可能です。遺言書がなければ遺産は法定相続人が相続するため、一般的にそれ以外の第三者は財産を受け取れません。

遺言書を活用することで、例えばお世話になった人など法定相続人以外の人にも財産を渡すことができます。

デメリット

遺言書を作成することは被相続人にデメリットはありませんが、作成にあたり財産の分割方法を考えたり、実際に作成する時間や費用がかかります。作成にかかる時間や費用は自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言といった遺言の種類によって異なります。

また、自筆証書遺言を作成する場合は、作成要件を満たしていないと内容が無効となる可能性があるので注意が必要です。

以上のように、遺言書を作成するにあたりデメリットや注意点はいくつかありますが、メリットもたくさんあることがおわかりいただけたのではないでしょうか。遺言書は、大切なご家族のためにできる効果の大きな対策のひとつといえるでしょう。

生命保険

メリット

相続にそなえて生命保険を活用するメリットは3つあります。

  • 受取人を指定できる

生命保険は「保険金受取人」を指定できます。保険金は一般的には遺産分割協議の対象外となるため、他の相続人の了承を得ずに受け取ることが可能となります。

  • 相続放棄をしても受け取れる

生命保険金は保険受取人固有の財産です。相続放棄をしても保険金を受け取ることは可能になっています。

ただし、この場合は民法上で相続人とはみなされないため、生命保険を活用した相続税の非課税枠が使えないことには注意が必要です。

  • 納税資金を確保できる

相続税の納付方法は原則、現金一括納付ですが、相続財産の中で不動産の占める割合が大きい場合など、一部の相続人の相続税納付資金の確保が難しくなるケースでは、保険金を活用する手段があります。

また、相続財産の相続手続き中、相続人の財産は凍結されてしまうため家族であっても引き出しが困難となります。保険金は受取人が手続きをすれば、早い段階で保険金を受け取ることができ、納税資金に充てることも可能です。

デメリット

相続税の非課税枠が使えるのは法定相続人のみですので、法定相続人以外の方が保険金を受け取った場合は非課税枠が使えません。

また、生命保険商品によっては年齢制限や健康状態によって加入ができない商品もありますので、金融機関などお近くの相談窓口へ問い合わせをしてみるのが良いでしょう。

信託

信託とは「信じ」て「託す」と書くように、自分の財産を信頼できる方に託し、自分が決めた目的に沿って、管理・運用してもらう制度です。

自分のお金や不動産などの財産管理を任せることで、自分で管理するよりもメリットが得られる場合に用いられます。

管理を誰に任せるかについては、委託をする人の任意で選べるので家族などを選択することもできますが、金融機関や信託会社などその道のプロに依頼することも可能です。

例えば、亡くなった際にのこしたい人に確実にお金がのこせるように委託しておく信託を「遺言代用信託」といいます。

自分で金融機関などでの相続手続きをおこなうことなく財産を渡すことができるので、比較的スムーズに資産承継できます。この仕組みは金融機関の商品を利用することが一般的です。

メリット

信託のメリットは、柔軟な設定が可能なところです。自分の意向に合わせて財産の管理方法をオーダーメイドで決めておくことができます。

デメリット

信託のデメリットは、様々な仕組みや柔軟な設定が可能であるため自分で最適な方法を見極めることが難しい点です。最適な託し方は金融機関や信託に詳しいコンサルタントなどに相談することで一緒に見つけることもできます。

まとめ

お金の引き継ぎ方はご自分の資産背景や、家族構成、引き継ぎたい方によって方法は様々です。また、1種類だけでなく組み合わせて準備をするケースもあります。

横浜銀行では相続についてのご相談を承っています。
お気軽にご相談ください。

2024年2月の法令に基づき執筆

ご留意事項

保険商品についてのご注意

  • 保険商品は預金ではなく、預金保険の対象ではありません。
  • 保険商品は、元本が保証された商品ではありません。
  • 保険商品には商品の種類によって次のようなリスクがあり、投資のリスクは契約されたお客さまに帰属します。
    • 変額年金保険および変額終身保険の場合、積立金は、特別勘定(ファンド)で運用・管理されます。特別勘定(ファンド)は、実質的に国内外の株式・債券等を投資対象とするため、「株価の下落」「金利の上昇による債券価格の下落」「円高による外貨建資産価格の下落」などが基準価額の下落の要因となり、基準価額は積立金額、解約返戻金額、年金原資額、死亡保険金額などに反映され、損失が生じるおそれがあります。
    • 定額年金保険、定額終身保険においても、商品によっては、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額に反映されるため、市場金利の変動により解約返戻金額が既払込保険料を下回ることがあり、損失が生じるおそれがあります。一般的に解約時の市場金利がご契約時と比較して上昇すると解約返戻金額は減少し、市場金利が下落すると解約返戻金額は増加する性質があります。
    • 外貨建ての場合、外貨と円との換算に用いる為替レートは時々の為替相場により異なるため、諸支払金額は、保険料払込時の円換算額を下回る場合および保険契約時における為替相場により円換算した諸支払金の予定額を下回る場合があり、損失が生じるおそれがあります。
    • リスクの内容は商品によって異なりますので、詳しくは各商品のパンフレット、契約締結前交付書面(契約概要/注意喚起情報)、ご契約のしおり・(定款)・約款および特別勘定のしおり(変額年金保険および変額終身保険)などをご確認ください。
  • 保険会社の業務または財産の状況の変化により、保険金額、年金額、給付金額などが削減されることがあります。なお、生命保険契約者保護機構の会員である生命保険会社が経営破綻に陥った場合、生命保険契約者保護機構により、保険契約者保護の措置が図られることがありますが、この場合にも、ご契約時の保険金額、年金額、給付金額などが削減されることがあります。
    詳細については生命保険契約者保護機構(TEL:03-3286-2820 ホームページアドレス https://www.seihohogo.jp/)までお問い合わせください。
  • 保険商品には所定の手数料等の諸費用がかかる場合があります。契約されたお客さまがご負担になる諸費用のうちおもなものは以下のとおりです。
    保険契約関係費 ご契約時の初期費用や、保険期間中、年金受取期間中の費用等、契約の締結・成立・維持・管理に必要な経費です。
    資産運用関係費 投資信託の信託報酬や、信託事務の諸費用等、特別勘定の運用により発生する費用です。
    解約控除 契約日から一定期間内の解約の場合に積立金から控除される金額です(解約時のみ発生します)。
    • 諸費用の合計額は上記を足し合わせた金額となります。
    • ご負担になる諸費用やその料率は、商品によって異なりますので、詳しくは各商品のパンフレット、契約締結前交付書面(契約概要/注意喚起情報)、ご契約のしおり・(定款)・約款および特別勘定のしおり(変額年金保険および変額終身保険)などをご確認ください。
    • 外貨建ての場合、ご契約時、または年金や死亡給付金等のお受け取りにあたって、外貨と円を交換する場合には為替手数料等が上記の各種手数料等とは別にかかります。
  • 税務の取り扱いについては、作成・更新時点の税制に基づいて記載していますので、今後の法改正等によって取り扱いが変更される場合があります。個別の取り扱いの詳細につきましては、所轄の税務署にご確認ください。
  • 横浜銀行は、お客さまと保険会社との保険契約締結の媒介をおこなうもので、保険契約締結の代理権はありません。保険契約はお客さまからの保険契約のお申し込みに対して保険会社が承諾したときに有効に成立します。
  • 保険商品のお申し込みの有無が横浜銀行とお客さまとの他の取引に影響を与えることはありません。
  • 各商品に関する内容説明の前にお客さまにご確認・ご同意いただく事項があります。
  • 保険業法上の規制により、お客さまのお勤め先や、お借り入れの申込状況などによっては、横浜銀行では生命保険をお申し込みになれない場合があります。
  • 保険会社による保険金や給付金などのお支払いについて、受取人の故意による場合や、健康状態などについてお客さまが事実を告知されなかったり、事実と異なることを告知された場合などは、保険金や給付金などが支払われない場合があります。詳しくは契約概要・注意喚起情報、ご契約のしおり・(定款)・約款などをご確認ください。
  • 保険会社への保険料のお払い込みについて、保険料お払い込みの猶予期間中に保険料のお払い込みがない場合は、ご契約は失効します。失効した場合、保険金や給付金などの支払事由に該当した場合でも、保険金・給付金などが支払われません。詳しくは契約概要・注意喚起情報、ご契約のしおり・(定款)・約款などをご確認ください。
  • 現在ご加入中の保険契約を解約または減額し、新たな保険を契約し直す場合について
    (1)現在ご加入中の保険契約を解約・減額など見直した場合は、お客さまに不利益が生じる可能性があります。
    (2)現在ご加入中の保険契約の保障内容のご確認や、見直し(解約・減額など)の判断は、お客さまご自身でおこなってください。
    (3)新たにお申込みになるご契約を、健康上などの理由で、保険会社が引受できない場合がありますので、ご注意ください。
    詳しくは契約概要・注意喚起情報、ご契約のしおり・(定款)・約款などをご確認ください。
  • ご検討にあたっては、各商品のパンフレット、契約締結前交付書面(契約概要/注意喚起情報)ご契約のしおり・(定款)・約款および特別勘定のしおり(変額年金保険および変額終身保険)などの資料をお客さまご自身で必ずご確認ください。
  • 詳しくは、当行の保険販売資格を持った生命保険募集人までご相談ください。