2024.03.19

私の財産にも相続税はかかるの?基礎控除があるから大丈夫?

提供
株式会社MILIZE
作成
2024年3月

「相続税」と聞くとどのようなイメージがありますか?「我が家には関係ない」「金持ちの悩みでしょ」など他人事に思ってしまう方も多いでしょう。しかし、2015年に改正された税制によって意外と身近な税金になっています。他人事と思って放置せず、まずはご家族やご自身の財産に相続税が課税されるかどうかの目安になる相続税の基礎控除について確認してみましょう。

相続財産について

相続人が被相続人から相続や遺贈で得た財産を相続財産と言います。
相続というと全ての財産に相続税がかかると思っている人もいるかもしれませんが、そうではありません。まず、相続税の支払い対象にならない相続財産を確認してみましょう。

相続税がかからない財産

  • 墓地、墓石、仏壇、仏具、神棚など
    日常的に礼拝するために用いる相続財産には相続税はかかりません。
  • 公益を目的とする事業の財産
    宗教、慈善、学術など、私益を伴わない事業を一定の個人から相続や遺贈によって相続した場合も相続税はかかりません。
  • 弔慰金、花輪代
    遺族に対するお悔やみとして支給される弔慰金や花輪代は、常識の範囲内であれば相続税の対象とはなりません。
  • 国や地方公共団体などへ寄付する財産
    財産を相続した場合でも国や地方公共団体、公益を目的とした事業団体へ寄附する場合は相続財産に対して相続税はかかりません。

一方で、国税局がホームページで説明している「相続税がかかる財産」は「金銭に見積もることのできる経済的な価値のある全てのもの」と定義づけられています。

相続税がかかる財産

  • 土地
    土地は相続税がかかる代表的な相続財産で、二つの評価方式で評価されます。まず一つ目が路線価方式です。主に道路ごとに1㎡あたりの価格(路線価)が決められている市街地で用いられる方式で、路線価に対して土地の形状や固有の条件をふまえて価格補正して算出する評価方法です。二つ目が倍率方式です。主に路線価が定められていない市街地以外の地域で用いられる方式で、地域や地目ごとに定められている倍率をその土地の固定資産税評価額にかけ合わせることで算出する評価方法です。
  • 建物
    建物も土地と同じく代表的な相続財産の一つです。原則として固定資産税評価額により財産が評価されます。
  • 株式や公社債などの有価証券
    株式等も相続財産とみなされます。上場株式等の場合、相続した株式等の評価額は次の4つの評価方法が設定されています。
    ①相続の開始があった日(※)の終値
    ②相続の開始があった月の毎日の終値の月平均額
    ③相続の開始があった月の前月の毎日の終値の月平均額
    ④相続の開始があった月の前々月の毎日の終値の月平均額
    この中で、一番低い評価額が適用されるようになっています。
    • 相続の開始があった日:被相続人の死亡日
  • 預貯金・現金
    預貯金や現金も相続する場合、相続税がかかる財産です。預貯金は原則として相続開始日現在の預入残高と相続開始日現在において解約するとした場合に支払いを受けることができる既経過利子の額との合計額により評価します。現金は相続した額がそのまま評価額となります。

この他にも死亡退職金や、生命保険料なども含まれます。

相続税の基礎控除について

相続財産は相続税の課税対象となりますが、実際に相続税がかかるかどうかは相続した財産の金額によって判断されます。

相続財産には基礎控除が設定されており、その基礎控除額を超えた金額に対して相続税がかかるというルールがあるからです。

つまり、相続財産の評価額が基礎控除額以下であれば相続税の支払いは発生しないということです。
相続税の基礎控除の計算方法は以下のとおりです。

相続税基礎控除計算

  • 3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

相続税の基礎控除額の計算は3,000万円をベースとして、法定相続人ひとりあたり600万円を加算していく事で算出されます。そのため、法定相続人が多ければ多いほど基礎控除額は大きくなります。

それでは次に、「夫が死亡し、のこされた相続人が配偶者(妻)、子2人」の場合にどうなるかを計算してみましょう。

相続税基礎控除計算例

  • 3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円

この場合、法定相続人は3人ですので、法定相続人分の1,800万円が、ベースの3,000万円に加算され4,800万円となります。

3人が相続した財産の合計額が4,800万円以下であれば相続税の支払いは発生しません。4,800万円を超える場合は税務署に申告をして超過分に対しての相続税の支払いが発生します。

法定相続人とは?

法定相続人とは被相続人の財産を相続する権利を持つ人のことで、民法では「被相続人の配偶者と血族」と定められています。

法定相続人には相続を放棄した人も含まれるという特徴がありますが、基礎控除の計算で対象となる法定相続人の人数に全ての血族(親族)が含まれるわけではありません。
民法では相続人となる順番やルールが定められており、それに従って基礎控除の対象となる法定相続人の人数が確定します。

被相続人の相続対象となる順番は次の通りですので確認してみましょう。

法定相続人の相続順位

  • 配偶者
    相続時に生存している場合、配偶者(法律婚のみ)は常に優先される相続人となります。
  • 子や孫
    民法では第1順位と定められており配偶者の次に子が相続人として優先されます。法定相続人である子が亡くなっている、かつ子(被相続人の孫)がいる場合はその子が引き継ぐこととなります。

  • 民法では第2順位と定められています。子や孫がいない場合は両親が相続人として優先されます。法定相続人である両親が亡くなっている場合はその両親(被相続人の祖父母)が引き継ぐこととなります。
  • 兄妹
    民法では第3順位と定められています。子や孫、親がいない場合は兄妹が相続人として優先されます。法定相続人である兄妹が亡くなっている場合はその子(被相続人の甥や姪)が引き継ぐこととなります。

第2順位以降の親や兄妹が基礎控除対象の法定相続人となるのは、原則第1順位である子や孫が生存していない場合です。

まとめ

今回の記事は普段はあまり馴染みのない相続税の基礎控除についての解説でした。

冒頭でもお伝えしたように、税制改正により相続税は身近な税金となりました。ご家族やご自身の財産を上手に把握して、早めに対策をされることがおすすめです。この機会に、ご自身の背景に当てはめて計算してみましょう。
横浜銀行では相続に関するご相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。

2024年2月の法令に基づき執筆

ご留意事項

保険商品についてのご注意

  • 保険商品は預金ではなく、預金保険の対象ではありません。
  • 保険商品は、元本が保証された商品ではありません。
  • 保険商品には商品の種類によって次のようなリスクがあり、投資のリスクは契約されたお客さまに帰属します。
    • 変額年金保険および変額終身保険の場合、積立金は、特別勘定(ファンド)で運用・管理されます。特別勘定(ファンド)は、実質的に国内外の株式・債券等を投資対象とするため、「株価の下落」「金利の上昇による債券価格の下落」「円高による外貨建資産価格の下落」などが基準価額の下落の要因となり、基準価額は積立金額、解約返戻金額、年金原資額、死亡保険金額などに反映され、損失が生じるおそれがあります。
    • 定額年金保険、定額終身保険においても、商品によっては、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額に反映されるため、市場金利の変動により解約返戻金額が既払込保険料を下回ることがあり、損失が生じるおそれがあります。一般的に解約時の市場金利がご契約時と比較して上昇すると解約返戻金額は減少し、市場金利が下落すると解約返戻金額は増加する性質があります。
    • 外貨建ての場合、外貨と円との換算に用いる為替レートは時々の為替相場により異なるため、諸支払金額は、保険料払込時の円換算額を下回る場合および保険契約時における為替相場により円換算した諸支払金の予定額を下回る場合があり、損失が生じるおそれがあります。
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    解約控除 契約日から一定期間内の解約の場合に積立金から控除される金額です(解約時のみ発生します)。
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    • ご負担になる諸費用やその料率は、商品によって異なりますので、詳しくは各商品のパンフレット、契約締結前交付書面(契約概要/注意喚起情報)、ご契約のしおり・(定款)・約款および特別勘定のしおり(変額年金保険および変額終身保険)などをご確認ください。
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