
2025.04.22
意外と身近な「争続」トラブル!家族のために、今のうちにできること
- 提供
- 株式会社MILIZE
- 更新
- 2025年4月
自身が亡くなる前に考えておく必要がある事柄の1つとして相続問題が挙げられます。中には「自分の家族は仲が良いから揉めないだろう」「資産家ではないので、深く考える必要はない」と思っている人もいるでしょう。しかし、家族の仲が良くても、資産の大きさにかかわらず、親族同士で相続トラブルが発生する事例は沢山あるのです。
遺産相続をめぐって親族同士で争う様は、「相続」とかけて「争続」といわれることもあります。
今回は、相続トラブルが起こりやすいケースと、トラブル回避の方法について一緒に見ていきましょう。
相続トラブルの増加
相続トラブルの原因についてお話しする前に、まずは相続トラブルがどのくらい身近になりつつあるのかデータで解説します。
遺産分割の調停・裁判件数は、2005年から2017年の間に約1.3倍に増え、件数も16,000件を超えています。
また、2023年には直近7年間で最高の件数を記録しており、身近な問題となりつつあることが見てとれます。
![遺産分割事件(家事調停・審判)の新受件数推移 [2005年]11,999件 [2017年]16,018件 [2023年]18,066件](/column/shared/images/column/topics/a0184_img_01.png)
(最高裁判所事務総局「令和5年 司法統計年報 3家事編」第2表 家事裁判・調停事件別新受件数―全家庭裁判所をもとに作成)
相続トラブルが増えた大きな理由を挙げると、次の2つになるでしょう。
①相続税基礎控除額の引き下げ
2015年に改正された民法では、相続税の基礎控除は次のように引き下げられ、これまでよりも相続税が掛かる人が増えることになったため、相続トラブル件数の増加につながっています。
- 基礎控除額の計算方法
改正前:5,000万円+1,000万円×法定相続人数
改定後:3,000万円+600万円×法定相続人数
- ※
法定相続人とは被相続人の遺産を相続する権利を法律的に有する相続人です。
②家督制度の薄れ
一昔前までは長男が相続をするという意識が強く残っていましたが、近年はその意識が薄まり法定相続人となった親族の権利意識が高まってきたことも一つの要因です。
このように法改正や時代の流れにともない、相続トラブルは増加傾向にあるため「自分の家族は大丈夫」と思わずしっかりとそなえる事が重要です。実際に令和5年度の遺産相続により法的紛争となった件数は下のグラフの通り、資産5,000万円以下の家庭が約8割を占めています。
![遺産分割事件のうち認容・調停成立件数(遺産の価格別) [1000万円以下]33.9% [5000万円以下]43.6% [1億円以下]11.9% [5億円以下]6.8% [5億を超える]0.5% [不明]3.4%](/column/shared/images/column/topics/a0184_img_02.png)
(最高裁判所事務総局「令和5年 司法統計年報 3家事編」第53表 遺産分割事件のうち認容・調停成立件数―審理期間別代理人弁護士の関与の有無及び遺産の価格別―全家庭裁判所をもとに作成)
どんな場合に相続トラブルが起こりやすい?
それでは次に、相続トラブルが起こりやすい、代表的な例を確認していきましょう。
①遺産の中に不動産がある
不動産は容易に分割できない遺産のため、相続トラブルが起きやすい代表例です。例えば、被相続人が亡くなった時点で兄妹3人が法定相続人となった場合を考えてみましょう。3人とも被相続人と同居していなければ、不動産を売却し金銭を3等分する事ができますが、一人でも同居している場合は家を手放したくない人がでてきます。そうなると、不動産は分割することができないためトラブルに発展するケースが多いです。
②家族関係が複雑
被相続人(故人)に離婚歴があり、前妻(夫)との間に子供がいた場合などでは、相続トラブルに発展しやすいといわれています。前妻(夫)は離婚した時点で法定相続人とはなりませんが、故人の子どもはその権利を持つため、現状の配偶者やその子どもと遺産分割協議をおこなわなければいけません。これまで交流が無かった親族同士の協議では合意に至りにくく、トラブルになる可能性が高いのです。
③相続人同士の関係が悪い
遺産相続をおこなう場合はまず、法定相続人同士で分割協議をおこなうのが一般的です。この時、相続人同士の関係が悪化していると話がまとまらず、5年10年と結論が先伸ばしになることもあります。
ここでは代表的なケースを紹介しましたが、他にも相続トラブルに発展するケースは沢山あるという事も覚えておきましょう。
対策はある?
それでは最後に、のこされた家族が相続トラブルに発展しないようにするための対策を紹介しますので、参考にしてください。
①遺言書を作成しておく
遺産相続は法定相続人同士の協議で決定しますが、故人の遺言書が残されていれば、その遺言書にしたがって遺産が分割されます。また、遺言書を作成する際には遺留分(※)にも留意しておくことが望ましいでしょう。
- ※
遺留分:法定相続人に認められている最低限の相続割合
②不動産を相続する場合は代償分割
不動産を相続する法定相続人が2人以上おり、売却することが難しい場合は、代償分割による対策も一つの手段です。代償分割とは、法定相続分を越えて相続した相続人が、他の相続人に対して見合った現金等を交付することで、遺産を分割する方法です。事前に不動産を相続する人を受取人として被相続人に対して保険を掛けるなどで対応することができます。
③財産目録を作り法定相続人に共有しておく
被相続人が亡くなった後すべての財産を調べあげることは容易な作業ではありません。そのため、生前に自分の財産目録を作っておき、法定相続人となる方に共有しておくことで、突然相続が発生してものこされた家族は落ち着いて協議できます。
④相続税の確認
相続トラブルでは相続税の支払いも大きなポイントとなります。そのため、相続税が実際にかかるのか、かかる場合はどれくらいの金額かを確認しておくことが重要です。事前に確認しておくことで、生前に財産の整理をおこなうことができるので、相続トラブル回避につながるでしょう。
⑤生命保険の活用
生命保険は契約者が保険金の受取人を指定することができます。保険金は遺産分割協議の対象外となるため、他の相続人の了承を得ずに受け取ることが可能です。
起こる可能性がある相続トラブルを生前に把握することができれば、そのトラブルに対して事前対策ができるので、しっかりと確認しておくことが大切です。
まとめ
今回の記事では、「争続」を避けるための方法を紹介してきました。現代では相続トラブルは資産をたくさん保有している資産家だけの問題ではなく、一般家庭でも十分に起る可能性があるものとなっています。のこされた家族が遺産相続であらそうことはどんな人でも好ましくないはずです。そういった状況にならないためにも、事前に対策を考えてみてはいかがでしょうか。
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2025年2月の法令に基づき執筆
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- ※
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- ※
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