2024.01.31

家賃と住宅ローンの支払い金額を比較してみたら差がない!?賃貸をやめて住宅の購入を考えてみた

監修
株式会社MILIZE
執筆
遠藤功二
更新
2024年1月

現在、賃貸住宅に住んでいる人の中には、「賃貸のままがいいのか、持ち家の方がいいのか」と考えている人もいるかと思います。家賃は手元に残りませんが、住宅は資産になるということもあり、家を購入することに一定のメリットがあります。
しかし、住宅購入は人生の中でも大きなイベントであり、その一歩を踏み出すのは容易ではありません。
実は家を買うこと自体のハードルは最近下がっています。大きな頭金を必要としない金融機関は増えていますし、毎月の支払いについても低金利の影響もあって、現在の家賃とほとんど変わらない、というケースは多く見受けられます。
そこで、今回は家計相談のためにA銀行に来店した架空の相談者を例にして、住宅ローンを活用した住宅購入についてのメリットを解説していきます。

相談者プロフィール

項目 内容
名前 横浜太郎(男性、30歳)さま
年収 600万円
居住地 神奈川県在住
資産 貯蓄残高500万円
家族構成 配偶者(28歳共働き年収300万円)、子供2名(3歳、1歳)
転勤予定・定年 転勤予定なし・定年65歳
現在の家賃 月15万円(会社からの家賃補助なし)
資産運用経験 なし
現在のお住まい 広さは3LDKで満足しているが、家計における家賃の負担割合が重いと感じている。
相談内容 毎月の家賃を負担に感じている。資産運用の必要性についても感じているが一歩が踏み出せない。また子供も小さく、もしもの時の備えについても知りたい。
  • 相談者のプロフィールは架空のものですので、以下の記事で提示している内容を保証するものではありません。

なぜ人は家を賃貸ではなく、購入するのか

家を購入する際には住宅ローンを活用することで様々な恩恵を受けられます。まずは、住宅ローンを組んで家を買う3つのメリットを解説していきます。

住宅ローンを組んで家を買う3つのメリット

1.賃貸と毎月の負担が変わらない
2.資産にすることができる
3.保険としての機能がある

1.賃貸と毎月の負担が変わらない

相談者である横浜さまは毎月の家賃を負担に感じているため、住宅ローンを利用した場合のシミュレーションをA行のWebサイトでおこないました。ここでは、藤沢市のマンションを購入し、4,000万円の借り入れをした場合の例を記載しています。

[シミュレーション条件] お借入金額 4,000万円 うちボーナス返済分 0円 お借入期間 35年0か月 金利タイプ 変動金利型 当初適用金利 年0.330%

シミュレーション結果1

[ご返済額概算(当初期間)] 当初期間 5年 [お借り入れから5年間のご返済額はこちら] 毎月のご返済額 100,857円 増額月のご返済額 100,857円 (うち増額月返済分) (0円) 年間ご返済額 1,210,284円
[当初諸費用概算(税込み)] 不動産担保取扱手数料 33,000円 住宅ローン事務取扱手数料 880,000円 保証料(一括前払分) 0円 収入印紙代 20,000円 登録免許税 160,000円 司法書士報酬 40,000円 諸費用合計 1,133,000円
  • 事務手数料がお借入金額×2.2%、保証料はお借入金利に含まれるプランでのシミュレーション結果。その他ご注意事項がありますので、実際にシミュレーションの際に提示される内容を確認してください。
  • A行の住宅ローンシミュレーションより筆者作成

ここで着目していただきたいことは、毎月の返済額が横浜さまの現在の家賃とたいして差がないということです。今回の借入金額と金利条件では毎月の返済額はむしろ家賃よりも下がっています。毎月の負担が賃貸と変わらないのであれば購入するという選択肢も十分視野に入ってくるかと思います。

2.資産にすることができる

「住宅購入=資産運用」と考えることも可能です。

賃貸は長年家賃を払ったとしても最後は何も残りません。

一方、住宅を購入した場合には、毎月返済を続け、住宅ローンを完済することによって住宅を資産として残すことができます。そのため住宅を購入することは資産運用の一種として考えることができます。

3.保険としての機能がある

住宅ローンを契約する場合、多くの人が加入するのが「団体信用生命保険」です。
借主が死亡または所定の高度障害状態に該当した場合、保険会社が住宅ローンの残高相当額を銀行に支払ってくれます。そのため遺族にローンがない状態で家を遺せます。

相談者である横浜さまに「もしも」のことがあった場合、遺されたご家族は住宅ローンの支払いの必要はなくなり、住宅はご家族のものとなります。

また最近ではガン保障や、3大もしくは8大疾病保障特約付きの団体信用生命保険といったものまであります。

住宅を購入しないと、将来どうなる?

住宅を購入せず、賃貸暮らしを続けると、将来的に以下のような問題が生じる可能性があります。

問題点 内容
賃貸住宅は高齢になった時に借りにくい 多くの場合、保証人が必要になる
物件によっては高齢を理由に断られるケースもある
資産として住宅が残らない 賃料を払い続けても資産とすることはできない
退職後も家賃の支払いが必要 退職後も家賃の支払いが必要になるため、年金とある程度の蓄えが必要

賃貸暮らしの場合、更新費、賃貸契約の費用も必要であるため、ある程度計画的に資産形成をしておくことが必要になってきます。

住宅を若いうちに購入するメリット3選

次に横浜さまを例に、住宅を若いうちに購入するメリット3点を解説していきます。

若いうちに購入するメリット3点

1.早期にローン完済を目指すことができる
2.返済期間が長くできるため、購入予算を高くできる
3.インフレ対策が可能

1.早期にローン完済を目指すことができる

相談者である横浜さまの年齢は30歳で、仮に住宅ローンの借入期間を35年とした場合、完済時の年齢は65歳です。定年退職時に住宅ローンを完済することができそうです。一部繰り上げ返済をおこなった場合は、完済時年齢をさらに前倒しにできます。

2.返済期間が長くできるため、購入予算を高くできる

横浜さまの場合、借入期間35年では、毎月の返済額は現在の家賃よりも低くなりました。もし、45歳で住宅ローンを借り入れし定年退職時に完済しようとすると、同じ借入金額4,000万円でも毎月の返済額が変わります。
30歳から借り入れた場合の毎月の返済額は102,338円(上図シミュレーション結果1参照)ですが、45歳で住宅ローンを組み借入期間を20年とした場合は、以下のシミュレーションように毎月の返済額が173,707円(下図シミュレーション結果2参照)と増加してしまいます。

同じように、A行のWebサイトでシミュレーションをおこないました。

[シミュレーション条件] お借入金額 4,000万円 うちボーナス返済分 0円 お借入期間 20年0か月 金利タイプ 変動金利型 当初適用金利 年0.330%

シミュレーション結果2

[ご返済額概算(当初期間)] 当初期間 5年 [お借り入れから5年間のご返済額はこちら] 毎月のご返済額 172,250円 増額月のご返済額 172,250円 (うち増額月返済分)(0円) 年間ご返済額 2,067,000円
[当初諸費用概算(税込み)] 不動産担保取扱手数料 33,000円 住宅ローン事務取扱手数料 880,000円 保証料(一括前払分) 0円 収入印紙代 20,000円 登録免許税 160,000円 司法書士報酬 40,000円 諸費用合計 1,133,000円
  • 事務手数料がお借入金額×2.2%、保証料はお借入金利に含まれるプランでのシミュレーション結果。その他ご注意事項がありますので、実際にシミュレーションの際に提示される内容を確認してください。
  • A行の住宅ローンシミュレーションより筆者作成

同じ金利の場合、長期のローンを組める人ほど、毎月の返済額は抑えることができます。
つまり、毎月の返済額から借入額を計算する場合は、長い返済期間を選べる若い人ほど、借入額の選択肢が広がるということです。

3.インフレ対策が可能

インフレは物の価値が上がり、お金の価値が下がる状態のことです。インフレに強い資産と言われているのが金・株式、不動産です。住宅を購入するということは、不動産を購入するということなのでインフレ対策につながります。

インフレによる暮らしへの影響
現預金 物に対し現預金の価値が減少
住宅 物価と共に住宅価格が上昇
住宅ローン インフレでも金利が一定ならば返済金額は変わらない
賃貸住宅 物価と共に家賃上昇
  • 上記は一般論であり、物価上昇時に個々人の保有物件の価格が上昇するとは限りません。

まとめ

住宅ローンの毎月の返済額は、借入額や返済期間によっては今住んでいる家賃並みの金額にすることが可能です。さらに万が一の時には、団体信用生命保険によって残りの住宅ローンが完済となります。住宅ローン完済後は住宅を自分の資産にすることができます。収入に余裕があるときには、一部繰り上げ返済により、早期の返済を目指すこともできます。現在の家賃負担に無駄を感じている人は、住宅購入という視点で住み替えを考えてみるのは一案です。
住宅購入について気になった人は、まずは住宅ローンシミュレーションなどで毎月の返済額を確認してみてはいかがでしょうか。

横浜銀行の住宅ローンシミュレーションや事前審査もできます