2025.04.22

実はあなたも相続税の課税対象者?知っておきたい相続税の現状

監修
株式会社MILIZE
作成
2025年4月

「相続税」と聞くと、一部の富裕層だけが支払うものと思われがちですが、実はそうではありません。2015年の税制改正により、相続税の基礎控除額が引き下げられたことで、相続税の課税対象となる人の割合が増加しています。特に都市部では、不動産の評価額が高くなることで、想定以上の税負担が発生するケースも少なくありません。自分や家族が相続税の対象になるのか、どのように計算されるのかを理解しておくことで、スムーズな相続の準備ができます。本記事では、相続税の基本から計算方法、対策のポイントまでを詳しく解説します。

相続税とは?何が課税対象になるの?

相続税とは、被相続人(亡くなった方)から財産を受け継ぐ際に、その財産に対して課される税金です。課税対象となる財産には、以下のようなものがあります。

  • 現金・預貯金
  • 不動産(土地・建物)
  • 株式・投資信託・債券
  • 貴金属・骨董品・車
  • 生命保険金(非課税枠を超える部分)

ただし、すべての財産が課税されるわけではありません。例えば、墓地や仏具、公益事業用財産などは非課税財産とされます。また、生命保険金や退職金には一定の非課税枠が設けられており、条件を満たせば課税対象外となることがあります。

相続税の現状

近年、相続税の課税対象者は増加傾向にあります。その背景には、2015年の相続税改正による基礎控除額の引き下げがあります。

  • 改正前の基礎控除額
    5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
  • 改正後の基礎控除額
    3,000万円+600万円×法定相続人の数

この改正により、より多くの家庭が相続税の課税対象となりました。国税庁のデータ(※1)によると、2014年の相続税課税割合は4.4%でしたが、2015年に基礎控除額が引き下げられた後、8.0%前後に増加し、2023年には9.9%に達しています。特に都市部では不動産価格の上昇にともない、相続財産の評価額が高くなる傾向があり、その結果、課税対象となるケースが増加しています。

出典データ

相続税が課税されるか判断するには?

相続税が課税されるかどうかは、財産の総額と基礎控除額を比較することで判断できます。

基礎控除額の計算式

3,000万円+600万円×法定相続人の数

たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人の場合、基礎控除額は以下のようになります。

3,000万円+600万円×3人=4,800万円

この金額を超える財産がある場合、その超過分に対して相続税が発生します。

相続税の計算方法

相続税は以下のようなステップで計算されます。

  1. 1.
    課税遺産総額の算出
    取得した財産総額から基礎控除額を差し引きます。
  2. 2.
    法定相続分による仮計算
    各法定相続人が法定相続分通りに相続したと仮定して税額を計算します。
  3. 3.
    実際の相続分で按分
    実際の取得割合に応じて税額を配分します。

まとめ

「相続税は一部の富裕層だけの問題」と思われがちですが、基礎控除額の引き下げにより、一般家庭でも課税対象となるケースが増えています。不動産の評価額や金融資産の合計額が想定以上になることも多いため、日頃から財産の棚卸しをしておくことが重要です。

相続税が発生する場合には、適切な対策を講じることで納税額を軽減することが可能です。たとえば、以下のような方法が有効です。

  • 生前贈与の活用
  • 生命保険の非課税枠の利用
  • 不動産の評価引き下げ

相続は突然訪れることが多いため、「その日」に備えて今から準備を進めることが大切です。自分の財産状況を把握し、必要であれば金融機関や専門家に相談することで、安心して将来を迎えることができるでしょう。

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2025年4月の法令に基づき執筆