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あなたのそばで、夢みる数字

亀井忠夫さんロングインタビュー 夢みる数字vol.11「日本の技術」篇

ロングインタビュー
建築家
亀井忠夫さん
日本の技術を象徴する建築として、まさに今、注目を集めている東京スカイツリー®!100年に一度といわれるこのビッグプロジェクトのこと、教えていただきました!

スカイツリーのプロジェクトは、どんなふうに始まったのですか?

設計チームでの検討と並行して、社内コンペをしました。100案ぐらい出てきました。ヒントになりそうな案もありました。コストとか度外視して提案してもらったんですが、それがよかったと思います。はじめからあまり制約があると、最初から可能性がせばまってしまうので。社内も、かなり盛り上がりましたね。
一方、設計チームは現実に向き合いながら、コストとか、構造について議論していきました。世界にひとつしかないデザインをめざそう、と。

完成間近。ここに来るまで、大変なご苦労があったのでは…

スタートから試行錯誤でした。デザインの担当の人、構造の担当の人など、いろいろな役割の人が関わりますから、違う意見が出るし、ぶつかりあいも起きる。そんな時は、それぞれの言いたいことを全部言い、そのあと頭を冷やしてそれぞれで検討してみる。その検討結果を持ち寄って、また議論する。そのような繰り返しをして、初めは考えつかなかったような新鮮なアイデアが生まれてきました。チームで取り組みましたから、みんなで考える。ひとりで困っていても、解決の道は見つからないんですね。

思い出深い瞬間があったら教えてください。

そうですね。一番、建物として実感がわいてきたのが、基礎工事が終わって地上の最初の柱を立てる「立柱式」をした時です。直径2.3m、厚さ10cmの鋼管です。 これで本当に支えるんだなあ、と思いました。

スカイツリーには、どんな思いを込められていますか?

工事には機械も使いますが、最後は人。建築は人の手が造ります。日本は、職人さんのレベルが高い。みんな「自分の仕事だ」というプライドを持っているので、現場に行くと生き生きと働いているんですね。現場は整頓されているし、事故もまったくない。それが、建物のクオリティにつながっています。真面目さこそ、日本の力。最新の技術を使いながら、日本ならではの「そり」や「むくり」、「心柱制振」といったデザインと技術力によって生まれた<日本のタワー>として世界に発信したいですね。そして50年後、100年後、スカイツリーがどんな評価をされているか、とても興味があります。

子どもの頃はどんな夢をお持ちでしたか?

小学生の頃からモノに興味があって、とくに車が好きでしたね。当時モーターショーが盛んだったりしたので、ダッシュボードとか、車の部分の絵を書いたりしていました。「これはかっこいいな」「これはかっこよくないな」とか、デザインが気になるんですね。その頃から、何かものをつくることに関われたらいいな、と思っていましたね。

建築家になろうと思ったのはいつ頃ですか?

小学生高学年のころに、友達の家に遊びに行ったところ、どうもその家が、自分の家と雰囲気が違うんです。どうやら建築家がつくった家らしいと。その頃に、設計する人がいるんだなあ、ということを知りましたね。具体的に建築をやろうと思ったのは、高校の頃でした。

第一線で活躍されている今、日本のものづくりについて、どのように感じられていますか。

日本の技術力というのは、研究者でも、現場の職人さんでも、関わっているひとりひとりが真面目にやっている、その積み重ねにあると思います。逆に、そういうことを外に向かってPRする力は弱いかもしれませんね。ものづくりをする側が注目されれば、もっと多くの子どもたちが興味を持ってくれるんじゃないかと思いますね。そして、全体で見た場合、日本の技術はかなり成熟していますから、これからはさらに今以上に高いレベルにチャレンジしていくことも重要です。今後は海外に指導していくという役割もあると思います。

亀井さんご自身の、これからの夢について教えてください。

生活環境をもっと良くしていくようなことを考えられたらいいですね。地域とか、パブリックスペースを見直すことで。ストレスなく住める都市をつくれたらいいなあと思っています。
個人が主体になっていると、ともすると個人の利潤第一になってしまいますけれど、社会にとって良いことは何かを長期の視点で見て行くことが大切だと思うんですね。そういう取り組みは、50年後、100年後くらいに、結果が出ます。
僕は、横浜は、とても好きですね。昔から外に開かれていて、ちょっとしゃれた雰囲気がある。そいうものを残していってほしいと思いますね。

最後に、子どもたちへのメッセージをお願いいたします。

日本の中にいれば、何でもあるし情報もはいってくるし、ほとんどの用は済んでしまうように思えますね。だけど、これから日本の中だけでは、やっていけないと思うんです。今はとにかく動きが早いし、ネットも発達している。そんな中で、海外で実物に触れたり、肌で感じたり、自分と考えの違う人と直に交流するというのを積極的にやることが、非常に大事になってくると思います。そして、感性を育ててほしい。自分の環境を当たり前と思うのではなく、たとえば「こんなところに電信柱があっていいのかな」と感じる感性。当然、僕ら創る側が、みなさんの感性に触れるものをつくって、見せていくということも必要ですが。

かめい・ただお
1955年生まれ。日建設計執行役員、設計部門代表。「クイーンズスクエア横浜」「さいたまスーパーアリーナ」など、数々の大規模プロジェクトを手がける。設計統括を担当した「東京スカイツリー®」は、2012年5月22日にオープン予定。

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