NISAのロールオーバーとは?メリット・デメリットについて

本ページは、「かじ社会保険労務士事務所」監修による記事コンテンツです。

監修:かじ社会保険労務士事務所
作成日:2020年9月14日

NISA(ニーサ)は、少額の金融商品を非課税で保有できる制度、そしてロールオーバーはNISAで保有している金融商品を、5年間の非課税期間が終わった後に、引き続き非課税で保有する方法です。NISAについて聞いたことはあるけれど、細かいことが分からず使っていない人や、NISAは利用していても、ロールオーバーしたことはないという人も多いことでしょう。
この記事では、NISAの仕組みを簡単にご説明したうえで、ロールオーバーの仕組みや、ロールオーバーを選択する際の注意点、ロールオーバーの手続きについてご紹介します。また、2024年からスタートする新NISAの概要や、現行のNISAで保有している金融商品を新NISAにロールオーバーするときのルールについても説明します。

NISAのロールオーバーとは

NISAとロールオーバーの仕組みを説明するとともに、NISAの制度がいつまで利用できるのか解説します。

5年の非課税期間とロールオーバーの仕組み

NISAとは、「少額投資非課税制度」と呼ばれる制度です。通常、株式や投資信託などの金融商品を売却したときに発生した利益や運用して得られた配当には、約20%の税金がかかります。NISAは「少額投資非課税制度」という名前から分かるように、一定の金額までの投資に対して配当金・分配金・譲渡益などが非課税になる制度です。NISAは2014年1月に始まりました。

NISAでは、1年ごとに120万円の非課税投資枠が設定されます。1年以内であれば、120万円の枠内で、金融商品を1度に購入することも、分割して購入することもできます。払い出し・売却はいつでもできますが、その分の非課税投資枠を再利用することはできません。NISA口座を通じて購入した金融商品の非課税期間は5年間です。1年ごとに120万円の非課税枠が設定されるので、5年間で最大で600万円の非課税投資枠を持つことができることになります。

次に、NISAの「ロールオーバー」の仕組みを説明します。NISAで購入した金融商品は、同じ金融機関に課税口座として特定口座を保有している場合、5年間の非課税期間が終了した後、何もしなければ特定口座に移されます(届け出ることで、同じく課税口座である一般口座に移すことも可能です)。しかし、翌年の非課税枠を開設するなどの条件をそろえれば、非課税期間が終わった金融商品を新たなNISA口座に移すことができます。これを「ロールオーバー」と呼びます。

ロールオーバーを検討する際には以下の3つの注意点を考慮に入れる必要があります。

1.ロールオーバーすると、その年の非課税枠はロールオーバーした分だけ減少

例えば、40万円ロールオーバーすると、その年に非課税で新しく投資できる枠は80万円になります。

非課税期間終了時の残高:40万円 ロールオーバー→ 翌年の非課税投資枠(120万円):40万円 + 80万円 新規に投資できるのは、80万円

非課税期間終了時の残高:40万円 ロールオーバー→ 翌年の非課税投資枠(120万円):40万円 + 80万円 新規に投資できるのは、80万円

2.ロールオーバーするためには、非課税期間終了までに手続きが必要

ロールオーバーを選択しないと、NISA口座金融商品は、課税口座に移されます。ロールオーバー以外の選択肢として、金融商品の売却もあります。

3.ロールオーバーの手続きは、同一金融機関内でおこなう

同一金融機関内でNISA口座を延長する形でおこないます。別の金融機関の口座にロールオーバーすることはできません。

NISAの制度はいつまで続く?

現行のNISA制度を使って非課税の金融商品を購入できるのは2023年までです。2023年にNISAを使って購入した金融商品は、5年後の2027年まで非課税で保有できます。しかし、2023年に5年目となる非課税枠はどうすればよいのでしょうか。NISA制度は2024年から新NISA制度に衣替えし、現在のNISAの非課税枠を新NISA制度にロールオーバーすることが可能です。新NISA制度については後述で詳しくご説明します。

ロールオーバーすべきか判断するポイント

NISAで購入した金融商品が5年目となったときには、以下の3つの選択肢を検討することになります。

  1. 1.
    ロールオーバーして非課税枠で保有し続ける
  2. 2.
    課税枠に移す
  3. 3.
    売却する

お手持ちの金融商品をロールオーバーすべきか判断するために、ロールオーバーのメリットとデメリットをご紹介していきます。

ロールオーバーのメリット

現在のNISA制度は、2014年から2023年までの10年間限定の制度です。例えば、2014年にNISA枠で購入した金融商品は、2018年まで非課税で保有した後にロールオーバーをすれば、2019年から2023年までの5年間は非課税で保有できます。しかし、2024年からは新しい制度になるので、現在のNISA制度を使って非課税のまま運用できるのは最大10年間となります。

始めにNISA枠で購入した金融商品は、運用益が出たことにより資産価格が120万円を超えたとしても、上限なくそのすべてをロールオーバーすることができます。

NISAを使って金融商品を購入後、5年経ってロールオーバーを検討するときに、今後の値上がりが見込める場合、ロールオーバーすることでさらに5年間非課税で持つことができます。ロールオーバーをせずに課税口座で保有した場合は、その後に値上がりした分は課税対象になります。

ロールオーバーのデメリット

逆にNISAを使って購入した金融商品がロールオーバーを検討するときに、今後値下がりする見込みが大きい場合は非課税の恩恵を受けることができません。例えば、購入価格120万円の金融商品が5年後に100万円となり、さらに2年後に80万円になったときに売却したとしましょう。その場合、配当金・分配金・譲渡益などの課税対象となる利益がないので、NISAを使っても使わなくても変わりません。NISAをロールオーバーするときには、将来値上がりしそうな金融商品を選択する必要があります。また、非課税の期間が満了するまでにロールオーバーの手続きをしなければ自動的に課税口座に移管されてしまいます。
また、現行のNISA制度は2023年に終了するので、その後は新NISA制度以外にロールオーバーできません。

2024年スタートの新NISAでもロールオーバーは可能?

ここからは、新NISA制度の概要と、現在非課税で保有している金融商品を新NISA制度にロールオーバーする方法についてご説明します。ただし、新NISA制度については、令和2年度税制改正の大綱の中で新たに決定されたばかりであり、制度の細かい部分は修正される可能性もありますのでご注意ください。

現在のNISAは2023年12月で終了となり、2024年からは衣替えした新NISA制度が始まります。新NISA制度は、20万円の積み立て枠(1階部分)と、102万円の投資枠(2階部分)の2階建てになる仕組みです。1階部分は資金を安定的に積み立てることを目的としており、積み立てに向いた安定的な金融商品を購入することができます。2階部分では、現行のNISAから高レバレッジ投資信託などの安定的な資産形成に向かない一部の金融商品を除いた、より家計の安定的な資産形成にふさわしい金融商品を購入することができます。

これまでNISAを使ったことがない人が新NISA制度を使う場合、原則として1階部分の積み立て枠で金融商品を保有する必要があります。ただし、1階部分の枠を使い切らなくても、2階部分に投資することも可能です。1階部分の金融商品は、5年の非課税期間が終了した後、積み立て用のNISAである「つみたてNISA」に移行することができます。

現行のNISAを利用している人は、保有している金融商品を、新NISAにロールオーバーできます。そのときには2階部分の枠が先に埋まります。例えば105万円をロールオーバーする場合、最初に102万円分が2階部分にロールオーバーされ、残りの3万円分が、1階部分を使ってロールオーバーされます。その結果1階部分に残った17万円分の枠内で、つみたてNISA対象商品を購入することができます。

まとめ

NISAを使うと1年で120万円まで、5年間で600万円までの金融商品を非課税で保有可能です。NISAを使って購入した金融商品は、5年経つと非課税期間が終わりますが、ロールオーバーの手続きを取ることにより、さらに5年間、非課税で保有し続けることができます。2024年からは新NISA制度になりますが、現行のNISAを使って購入した金融商品は全額を新NISAにロールオーバーできます。うまくロールオーバーの仕組みを利用し、適切に資産を運用していきましょう。

監修者

加治 直樹(かじ・なおき)

  • 1級FP技能士
  • 社会保険労務士

銀行員を経てFPとして独立。銀行員時代は数多くの中小企業向けに決算書の財務から会社の問題点洗い出しなど、企業経営に関連する幅広い業務を請け負う。現在は、中小企業向けに経営コンサルや管理業務の支援をおこなう傍ら、企業・個人問わず金融・保険・住宅ローン等をテーマにした説明会などを開催し、講師・コンテンツ(説明会資料など)作りをおこなう。

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