NISAは確定申告する必要がある?非課税制度の上手な活用法

本ページは、「かじ社会保険労務士事務所」監修による記事コンテンツです。

監修:かじ社会保険労務士事務所
作成日:2020年12月22日

これからNISA(ニーサ)を始める場合はもちろん、すでにNISAを始めている場合も「NISAで確定申告は必要なのか?」と疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。また、NISA以外の投資信託口座の種類や各口座の納税方法、口座を開設する際にどんな納税方法を選ぶとよいかを知りたい方もいるでしょう。

この記事では、そのような疑問にお答えしつつ、NISAを始めるにあたって知っておくべき基礎知識や多くの人がNISAについて疑問に思っていることについても解説します。

確定申告が不要なNISA

NISAで投資をおこなう場合、原則的に確定申告の必要はありません。その理由を説明するにあたり、確定申告の基本や投資と税金の関係、そしてNISAと税金の関係についてお話しします。

確定申告とは?

確定申告とは、1月1日~12月31日までの1年間に生じた所得の金額をもとに所得税の金額を算出し、所定の確定申告書に記して税務署に提出・申告することです。もし源泉徴収された税金や予定納税額があればその金額を確定申告書に記入し、過不足を精算する手続きをおこなえます。
会社員や公務員などの給与所得者は、収入源が1つで会社で年末調整をおこっているのであれば、原則自分で確定申告をおこなう必要はありません。

確定申告をおこなう必要があるのは、次のような方です。

一般的な投資(株式や投資信託など)で発生する「配当金」「分配金」「譲渡益」は課税対象になり、同じ投資であるNISAの利益がなぜ非課税扱いとなるかを知るうえで、とても重要なポイントになります。

投資信託口座の種類と確定申告

一般的な投資信託口座には一般口座と特定口座の2種類があり、いずれも投資で発生した分配金や、譲渡益などの利益に税金が課せられます。ここでは、各口座の違いについてわかりやすく説明していきます。

口座によって変わる確定申告要・不要

1.一般口座

一般口座の場合、1月1日~12月31日の1年間で投資信託などを売却して発生した損失や利益(譲渡損益)を自分で計算し、確定申告や納税も自分でおこなう必要があります。

2.特定口座(源泉徴収なし)

源泉徴収なしの特定口座の場合、売買で得られた利益から源泉徴収されていません。そのため、金融機関から送られてくる年間取引報告書をもとに、自分で確定申告書を作成して納税します。

3.特定口座(源泉徴収あり)

源泉徴収ありの特定口座の場合、金融機関が年間取引報告書の作成や譲渡損益の計算、売却代金からの税金の差し引きと納税までおこないます。そのため、自分で確定申告をおこなう必要はありません。
ただし、投資で損失が出た分を他の投資信託などの利益から差し引く「損益通算」をおこないたい場合は確定申告が必要になります。

横浜銀行では、特定口座を利用されている方向けに年間取引報告書を作成しています。確定申告が必要な場合でも、その決算書を添付するだけで確定申告が簡単におこなえます。ここまでは、一般的な投資信託の取引に利用する一般口座と特定口座の確定申告についての説明でしたが、NISA口座はそれらの投資信託口座と税制上の取り扱いがまったく異なります。

NISAは基本的に確定申告が不要

NISAと確定申告の関係について知るうえで欠かせないのが、NISAの仕組みを知ることです。
国の少額投資非課税制度であるNISAは、投資信託の分配金、譲渡益や上場株式等の配当金、譲渡益などが非課税になります。2020年時点でのNISAの種類は、「NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3つです。

NISA つみたてNISA ジュニアNISA
対象者 日本に居住する20歳以上の方
(口座開設の年の1月1日時点)
日本に居住する20歳以上の方
(口座開設の年の1月1日時点)
日本に居住する0歳~19歳の方
(口座開設の年の1月1日時点)
年間の投資上限額 120万円 40万円 80万円
非課税期間 最長5年間 最長20年間 最長5年間
購入方法 一括投資またはつみたて投資 つみたて投資 一括投資またはつみたて投資

以上の違いを踏まえたうえで、NISAで確定申告が必要か説明していきましょう。

NISA口座は非課税扱いとなるため、確定申告は不要です。ただし、3種類のNISA口座にはそれぞれ年間の投資上限額が設定されており、その範囲内で金融商品を購入することになります。例えば一般のNISAの場合、非課税期間が終了したNISA口座内の金融商品は、同じ金融機関で特定口座を開設している場合には特定口座(一般口座に移管することも可能)に移管され、課税扱いとなります。課税口座へ移管され、その後保有している金融商品が値上がりした場合には、売却などで発生した利益は課税対象になります。

一般NISAの場合、5年間の非課税期間が終了したら「翌年の非課税投資枠に移す(ロールオーバー)」ことも「課税口座に移す」ことも「売却する」こともできます。ジュニアNISAは、制度期間内に20歳になると、20歳以降は自動的に一般NISA口座が開設され、移し替えることが可能になります。つみたてNISAは、20年の非課税期間が終了すると特定口座や一般口座などの課税口座に払出されます。それぞれ、投資可能な期間や特徴が異なるので、ご自身のライフスタイルに合った活用をしましょう。

いずれの場合も非課税の範囲で投資をおこなえば、原則NISA口座で確定申告をおこなう必要はありません。

NISAに所得控除はある?

NISAには、iDeCoのような掛金の所得控除の適用はありません。iDeCoは、掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象となるほか、投資で発生する利益も非課税となるため、節税効果はNISAより大きいといえるでしょう。ただ、iDeCoは個人型確定拠出年金という性質上、原則60歳まで引き出すことができません。

また、「NISAよりも手数料が高い」「所得がない人(専業主婦・主夫、無職)は節税効果が期待できない」「受け取るときに雑所得や退職所得となり税金がかかることがある」などのデメリットもあります。その点、NISAは必要に応じていつでもお金を引き出すことが可能です。投資の目的が年金以外である場合はNISAをおすすめします。

なお、NISAとiDeCoの違いについての詳細はこちらのコラムをご覧ください。

NISA口座開設前に知っておきたいこと

NISAの概要と確定申告について理解したところで、改めて、NISA口座を開設する前の注意点について確認していきましょう。

一人一口座しか持てない

一般的な投資信託口座は、各金融機関で複数持つことが可能ですが、NISA口座は金融機関全体で一人一口座しか開設できません。また、NISAとつみたてNISAは併用ができません。金融機関の変更は年単位となりますので、その年の非課税枠を使っている場合には、翌年度分からの変更となります。

手続きは、変更を希望する前年の10月1日から、変更する年の9月30日の間に、変更前、変更後両方の金融機関でおこなうことが必要です。

損益通算や損失の繰り越しができない

NISA口座で保有している金融商品を売却して損失が出た場合、他の一般口座や特定口座で保有している金融商品の配当金や売却で得た利益との相殺(損益通算)はできません。また、損失の繰越控除(3年間)も利用できないため注意が必要です。

それ以外にも、年間の非課税枠が固定されており、非課税枠が余っても翌年に繰り越しはできません。金融商品を売却しても、その年の非課税枠は復活しないので注意しましょう。これらのデメリットは、どのNISAでも同様です。そのため、NISAを始めるときは損失が出たリスクも考慮したうえで、ご自身の投資知識や経験に応じた商品を選ぶことが重要となります。

NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAで対象者・上限額・非課税期間が異なる

NISAを始めるにあたって前述したとおり、NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの違いを理解しておく必要があります。

NISA つみたてNISA ジュニアNISA
対象者 日本に居住する20歳以上の方
(口座開設の年の1月1日時点)
日本に居住する20歳以上の方
(口座開設の年の1月1日時点)
日本に居住する0歳~19歳の方
(口座開設の年の1月1日時点)
年間の投資上限額 120万円 40万円 80万円
非課税期間 最長5年間 最長20年間 最長5年間

それぞれの特徴を理解したうえで、ご自身のニーズに合ったNISAを選ぶといいでしょう。

NISAによくある質問

最後に、NISAでよくある質問にお答えします。

その他の質問については【横浜銀行 よくあるお問い合わせ】の投資信託・NISAから#NISA、#つみたてNISAを選択してご覧ください。

まとめ

一般的な投資信託口座は、種類によって確定申告の必要性が変わります。NISA口座は非課税のため、原則確定申告が不要ですが、確定申告が必要なケースもあるため注意しましょう。NISAでは、所得控除は適用されません。掛金の全額が所得控除の対象となるiDeCoとは節税効果が異なります。NISAは3種類あり、一人一口座しか持つことができません。損益通算ができないことや、それぞれのNISAの特徴を知ったうえで、ご自身にあったNISAを選択するとよいでしょう。

これからNISAを始める方は、「どんな形でNISAを始めるか」を検討し、NISAの非課税枠や非課税期間を最大限に利用して上手に資金をふやしましょう。

監修者

加治 直樹(かじ・なおき)

  • 1級FP技能士
  • 社会保険労務士

銀行員を経てFPとして独立。銀行員時代は数多くの中小企業向けに決算書の財務から会社の問題点洗い出しなど、企業経営に関連する幅広い業務を請け負う。現在は、中小企業向けに経営コンサルや管理業務の支援をおこなう傍ら、企業・個人問わず金融・保険・住宅ローン等をテーマにした説明会などを開催し、講師・コンテンツ(説明会資料など)作りをおこなう。

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