NISAのメリット・デメリット(損益通算など)をわかりやすく説明

本ページは、「かじ社会保険労務士事務所」監修による記事コンテンツです。

監修:かじ社会保険労務士事務所
作成日:2020年11月13日

NISA(ニーサ)は、2014年から開始された個人投資家へ向けた税制優遇制度です。投資をして利益を得ることがあれば、本来は課税対象となります。しかし、NISAの制度を利用することで、投資で得た利益を非課税にすることができます。

この制度は日本に居住している20歳以上の方であれば、銀行などでどなたでも口座を開設できます。とはいえ、投資を始めるのはハードルが高く、上手なNISAの利用方法もよくわからず困ってしまった経験はありませんか。

この記事では、NISAを始めるにあたって知っておきたいメリット・デメリットや、おすすめの運用方法などをご紹介します。

NISAのメリットは最長5年利益が非課税になること

まずはNISAのメリットから見てみましょう。

最大のポイントは、何といっても投資で出た利益が最長5年間非課税になるという点です。
例えば、購入した株式・投資信託などが値上がりしたときに売却し、利益を出せれば、通常20%程度の税金が利益に課税されます。NISAでは、この税金が差し引かれることなく、最大限メリットを活用できます。利益を多く出せばそれだけメリットを得られますが、逆に利益とならなかった場合は恩恵を受けることができません。

非課税期間の5年間の終了時期は、投資した年から数えて5年目の年末までとなります。投資したその日から5年間ではないので注意しましょう。例えば、2020年の1月に投資する場合も、12月に投資する場合も同じ2020年に投資したことになります。非課税期間の終了時期は、投資した年から数えて5年目の年末となるので、1月に投資をしても12月に投資をしても2024年の年末で同じになります。

年内のNISA非課税枠の利用は、約定日が基準でしょうか。受渡日が基準です。
たとえ約定日が年内であったとしても、受渡日が翌年になるお取引の場合は、年内の非課税枠を利用した取引ではなく、翌年の非課税枠を利用した取引となります。
また、現行のNISAの制度を利用できるのは2023年までであり、2024年以降に新規に始める場合は、改正された新しいNISA制度を利用することになります。このとき、すでに現行のNISAを利用している方については、新規に切り替えをする必要はなく、非課税期間終了時にロールオーバー(新たな非課税投資枠に移管する)をおこなうことができます。

NISAの3つのデメリット

NISAは上記のような「非課税になる」ということにフォーカスが当てられがちですが、制限やルールなどが細かく定められており、決して良いことづくめではありません。活用するにあたってはデメリットも把握しておくことが必要です。

1:NISAは損益通算ができず他の損失をカバーできない

NISA口座は他の口座と損益通算できません

NISAでは株式などの売却をして利益が出た場合、非課税になるということは前述しました。一方で、損失になったとしても、その損失が税計算上ないものとされてしまうため、一般口座などの他の課税口座とは異なり損益通算ができないという側面があります。

例えば、課税口座でAの株式が50万円の利益、Bの株式で50万円の損失が出たとします。この場合、利益と損失を相殺できるため損益通算が可能となり、利益分に課税が発生することはありません。一方で、損失が発生した口座がNISAを利用していた場合、Bの株式の損失分は損益通算に利用できず、Aの株式で得た50万円分の利益に対する税金を収める必要があります。つまり、NISAの利用によって、税負担が増えてしまうケースもあるということです。

さらに、このときNISAで発生した損失は、損失分を繰越して翌年出た利益と相殺する「損失の繰越控除」も利用できません。この点は、デメリットとして把握しておきましょう。

2:NISAは売買期間が短い取引手法とは相性が悪い

次のポイントは「デイトレ」など、いわゆる日計り取引などの短期投資をおこなうには向いていない点です。
NISAの非課税投資額は、1年あたり120万円までと定められており、一度使用した枠は元に戻りません。

例えば、一度に120万円の投資をし、1週間後に130万円で売却できたとします。その際10万円の利益分はもちろん非課税となりますが、これ以降の取引はNISA口座ではおこなえず、年が明けるまで待たなければなりません。翌年の1月になれば、その年の120万円の非課税枠が発生します。 逆に、1年間の投資枠が余ったとしても翌年に引き継ぐことはできないので、未使用分の枠は無駄になってしまいます。

短期間に何度も取引をおこなって利益を出したい場合は、すぐに限度額に到達してしまい非課税のメリットを生かしきれないといえます。一度購入した後は、長期間そのまま保有している方がNISAの特性をより生かすことができます。

3:1人につき1口座しか開設ができない

最後はNISA口座の場合、一般の総合証券口座のように複数保持することができない点です。これは120万円という非課税投資額をわかりやすくするためでもあるのですが、NISA口座を利用して多くの取引をしたい場合は注意が必要です。

また、口座を開設した際の金融機関の変更は、1年単位でなら可能ですが、すでにその年の投資をおこなった場合は、投資枠が残っていたとしても、変更後の追加購入は翌年までできなくなります。

NISAとつみたてNISAの違いを理解して活用しよう

NISAには、2018年から利用開始となったつみたてNISAもあります。前項でNISAのデメリットを整理しましたが、つみたてNISAではそのデメリットはどうなっているのか、一般NISAとつみたてNISAのどちらを利用したらよいのか、比較しながら解説します。

NISAは年額120万・つみたてNISAは40万円が非課税

まず、NISAとつみたてNISAは同時に利用できません。新規でNISAを利用する場合は、初めにどちらかを選ばなければなりませんし、すでに一般NISA口座を開設していて、つみたてNISAに乗り換えたい場合は、原則、変更しようとする年の前年の10月~12月の間に変更の手続きをする必要があります。
NISAとつみたてNISAの一番の相違点は、1年の非課税投資額が異なる点です。一般NISAは年間120万円という枠がありますが、つみたてNISAは年間の投資上限枠は40万円までとなります。また、一般NISAの非課税期間が原則5年間であるのに対し、つみたてNISAは最大20年となります。累計積立可能額はNISAが600万円であるのに対し、つみたてNISAは800万円と最終的な額に差があることも押さえておきたいポイントです。

NISA つみたてNISA
対象者 日本に居住する20歳以上の方
(口座開設の年の1月1日時点)
日本に居住する20歳以上の方
(口座開設の年の1月1日時点)
年間の投資上限額 120万円 40万円
非課税期間 最長5年間 最長20年間
購入方法 一括投資またはつみたて投資 つみたて投資
対象となる当行商品 当行で取り扱う株式投資信託(つみたてNISA専用ファンドを除きます) つみたて投資NISA専用投資信託

つみたてNISAでの運用は、毎月少額の拠出額を設定し、コツコツと長期間積立投資をおこないたい場合に選択するといいでしょう。

もしも、年額40万円以上の投資計画があるならば、一般NISAの利用をおすすめします。購入できる金融商品もつみたてNISAより多くなっています。

NISAを始めるなら長期売買がおすすめ

ここまで、NISAのデメリットとして、「損益通算ができない」「売買期間が短い取引手法とは相性が悪い」「1人につき1口座しか開設できない」の3点を挙げてご紹介しました。

NISA枠での取引で損益通算ができないことは、投資家にとって大きな影響を及ぼします。また、年間の投資額が限られているため、「デイトレ」など短期投資をおこないたい場合も、不向きだといえるでしょう。
NISAを始めるなら、将来の資産形成をめざして長期売買がおすすめです。始めるにあたっては、メリット、デメリットをよく理解し、ご自身の投資目的や投資ができる期間、目標金額などの状況によって一般NISAかつみたてNISAを選ぶとよいでしょう。

NISAの口座開設はこちらからおこなうことができます。

スマホで完結投資信託口座開設申込サービス新しいウィンドウで開きます

投資信託口座開設申込サービスはスマートフォンよりアクセスください

窓口でNISA口座を開設する店舗検索

必要書類は各店舗にお問い合わせください

まとめ

「NISAを使えば税金がかからなくなる」というわかりやすいメリットが出回っていても、運用するにあたってのデメリットを把握することはなかなか簡単ではありません。この記事ではデメリットも挙げてきましたが、利益に対する非課税というシステムは資産形成をおこなうにあたって大きな恩恵があります。投資方法にも向き不向きがありますから、それぞれのシステムを理解し、自分に合った制度を選ぶことが重要です。上手にNISAを活用して、メリットを最大限に享受できるように運用していきましょう。

監修者

加治 直樹(かじ・なおき)

  • 1級FP技能士
  • 社会保険労務士

銀行員を経てFPとして独立。銀行員時代は数多くの中小企業向けに決算書の財務から会社の問題点洗い出しなど、企業経営に関連する幅広い業務を請け負う。現在は、中小企業向けに経営コンサルや管理業務の支援をおこなう傍ら、企業・個人問わず金融・保険・住宅ローン等をテーマにした説明会などを開催し、講師・コンテンツ(説明会資料など)作りをおこなう。

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