保証契約に関する説明書

リスクに関するご説明

1. 「連帯保証」について

銀行取引における保証は、「連帯保証」(後記「用語解説」項番1参照)となります。債務者が債務を履行しない場合、連帯保証人は、銀行が債務者に請求したか否か、債務者に弁済のための資力があるか否かにかかわらず、保証が及ぶ融資金の全額について弁済する義務を負います。
また、保証は、保証する範囲によって、確定保証(同項番3参照)と限定根保証(同項番4参照)の2種類に大別することができます。確定保証は、債務者に対する融資金それぞれに対する個別保証であり、個別に保証した融資金の元本、利息、損害金、その他の手数料等について保証債務を負います。一方、限定根保証は、保証極度額(同項番12参照)、元本確定期日(同項番13参照)、融資の種類などについて限定をした根保証(不特定の融資金についての保証)であり、融資金の元本、利息、損害金、その他の手数料等を含め、保証極度額まで保証債務を負います。

2. 「期限の利益の喪失」について

債務者や保証人について銀行取引約定書(同項番5参照)第5条第1項および第2項に掲げられている事項に該当し、期限の利益を失うことを「期限の利益の喪失」(同項番6参照)といいます。なお、債務者や保証人が事業を断念し「支払いの停止」とみなされる状況に陥った場合も期限の利益を喪失します。このように期限の利益を喪失した場合、連帯保証人は上記1に記載のとおり、融資金を直ちに全額弁済する義務を負います。
また、期限の利益を喪失すると、それ以降の金利は約定金利から所定の損害金利率(年14%等)(同項番7参照)になります。

3. 「期限前弁済手数料」について

「期限前弁済」は約定上原則できないことになっていますが、お客さまからの申出によりやむをえず銀行の承諾を得て期限前弁済をおこなう場合は、約定にもとづく期限前弁済手数料がかかります。この期限前弁済手数料に対しても、保証がおよびますので、債務者がお支払いになれない場合、連帯保証人がお支払いになることとなります。
なお、期限前弁済手数料については、各取引において事前に資料等をご提示してご説明します。

4. 「保証債務の履行」について

債務者が債務を履行せず、保証人が実際に保証債務を履行せざるを得なくなった場合は、連帯保証人は、融資金およびそれまでの未払利息ならびに損害金やその他の未払手数料等について、直ちに全額弁済する義務を負います。弁済いただけない場合には、預金の相殺(同項番11参照)、保有資産への(仮)差押え(同項番15参照)や競売(同項番17参照)申立等がおこなわれることがあります。

用語解説

1. 連帯保証、連帯保証人

保証の条項に「保証します」と記載している場合は「普通保証」となるのに対して、「連帯して保証します」と記載している場合には、「連帯保証」になります。銀行取引における保証は、「連帯保証」となります。
「連帯保証人」は、保証人が複数いる場合でも、主たる債務者と同様の弁済義務を負います。主たる債務者に債務不履行があり、債権者から請求を受けたときは、債権者が主たる債務者に弁済を請求したか否かや主たる債務者に資力が残っているか否かにかかわらず、主たる債務者に代わり直ちに債務全額を弁済する義務を負います。
また、主たる債務者より先に、預金の相殺(項番11参照)や、財産に対する差押え(項番15参照)等による強制執行(債務者の財産を差押えて競売等により金銭に換価し、配当を受けて債権を回収するという手段)を受けることもあります。
なお、「連帯保証人」が主たる債務者に代わって債務の弁済をした時は、連帯保証人は主たる債務者に対して求償(項番16参照)ができ、この求償のために債権者の権利に代位(項番10参照)することができます。

2. 債務者

銀行と締結する融資契約の借主のことを「債務者」といいます。銀行に対して借入金債務を負っているため、債務者となります。これに対して、銀行は債権者となります。

3. 確定保証

債務者に対する融資金それぞれに対して個別に保証するものです。保証した融資金の元本、利息、損害金、その他の手数料等について債務者が弁済をおこなわない場合、保証債務を履行しなければなりません。なお、債務者がその融資金を完済すれば保証債務そのものも消滅します。

4. 限定根保証

保証極度額(項番12参照)、元本確定期日(項番13参照)、融資の種類など、保証範囲を限定しておこなう根保証(不特定の融資金についての保証)です。
また、根保証人は、元本、利息、損害金、その他の手数料等を含め、保証極度額までの保証債務の履行義務を負います。個人を根保証人とする場合は、保証極度額と5年以内の元本確定期日を定めます。
なお、限定根保証は設定した保証極度額までの融資をお約束するものではありません。

5. 銀行取引約定書

与信取引の開始にあたり締結する手形貸付、手形割引、証書貸付、当座貸越、支払承諾、外国為替、デリバティブ取引、その他いっさいの取引(以下、「銀行取引」といいます)において共通する基本的事項を取り決めた普通取引約款です。

6. 期限の利益、期限の利益の喪失

期限があることによって債務者が受ける利益のことを「期限の利益」といいます。金銭消費貸借契約の場合、債務者は「契約で定められたそれぞれの弁済期限までは、借入金の弁済をしなくてよい」ということが期限の利益です。
ただし、銀行取引約定書第5条第1項に掲げられている事項のいずれかに該当した場合、債務者は当然に期限の利益を失い、直ちに債務全額を弁済する義務を負います。また、同約定書第5条第2項に掲げられている事項のいずれかに該当した場合、銀行の請求により債務者は期限の利益を失い、直ちに債務全額を弁済する義務を負います。このように、銀行取引約定書第5条第1項および第2項に掲げられている事項に該当し、期限の利益を失うことを「期限の利益の喪失」といいます。なお、債務者や保証人が事業を断念し「支払いの停止」とみなされる状況に陥った場合も期限の利益を喪失します。
また、保証する債務(主たる債務)の期限の利益が失われると、保証人が負担する保証債務の期限の利益も同時に失われるため、保証人は、銀行から保証債務の履行請求を受けたときは、債務者に代わり直ちに弁済する義務を負います。

7. 損害金

債務者が約定どおり借入金の弁済をおこなわない場合、違約金(債務の不履行があった場合に支払う旨を、債務者が銀行に対しあらかじめ約束した金銭)として銀行にお支払いになる金銭を「損害金」といいます。
通常は、弁済期日の翌日から弁済日までの期間について、弁済が遅延している元金に対して年14%の割合で日割計算(日数÷365日)された金額となります。

8. 免責

「免責」とは、債務の弁済責任を免除されることをいいます。保証約定書、金銭消費貸借契約証書、当座貸越契約書の保証条項では、保証人の銀行に対する弁済責任の免除をいいます。
ただし、銀行取引においては、銀行がその都合によって担保もしくは他の保証を変更、解除しても、保証人は免責を主張できないことを保証約定書等で約定しています。

9. 保証債務の履行

保証人は、債務者の弁済が遅延した場合などに債務者に代わって債権者に弁済するという保証債務を負うことになります。その保証債務にもとづき債権者に対して弁済をおこなうことを、「保証債務の履行」といいます。

10. 代位

債務者の債権者に対する弁済が遅延した場合などに、保証人が債務者に代わって保証債務を履行したり、抵当権設定者(または根抵当権設定者)が抵当物件(または根抵当物件)を売却して弁済したりすることによって、債権者が有する担保権その他の権利が当該弁済者へ移転することを「代位」といいます。
ただし、銀行取引においては、保証人等が代位によって取得した権利について、債務者と銀行との取引継続中は、銀行の同意がなければ、その権利を行使できないことを保証約定書等で約定しています。

11. 相殺

「相殺」とは、二人の当事者に相互に同種の目的をもつ債権があり、相互の債権がともに弁済期にある場合、実際に相互に支払う代わりに、相互の債権を対当額だけ消滅させることをいいます。当事者どちらかの一方的な意思表示でおこなうことができます。
銀行が債務者に貸出をおこない、一方で債務者が銀行に預金をしている場合、銀行と債務者はお互いに金銭債権という同じ種類の債権を持っていることになります。
相殺について例示すると、A銀行がBさんに100万円の貸出があり、BさんはA銀行に70万円の預金をしていたときに、Bさんが期限の利益の喪失等により直ちに100万円を弁済しなければならない状態になり、A銀行がBさんの70万円の預金と100万円の貸出とを相殺したいとの意思表示をした場合、A銀行とBさんの債権をそれぞれ70万円ずつ消滅させ、A銀行の貸出を30万円に減らすことをいいます。
ただし、銀行取引においては、保証人は、債務者の銀行に対する預金その他の債権をもって相殺できないことを保証約定書等で約定しています。

相殺

12. 保証限度額(保証極度額)

保証は、特定の債務を対象としてなされるのが原則ですが、銀行取引などにおいては、反復的に生ずる債務を包括的に保証する内容の保証契約があり、そのような保証を根保証といいます。根保証では保証金額の上限が定められ、この上限額を「保証限度額(保証極度額)」といいます。

13. 元本確定期日

根保証について、保証する債務が具体的に特定される状態を「確定」といい、その特定される日を前もって定めた場合、その特定される日を「元本確定期日」といいます。根保証の元本が確定すると、実質的には確定日時点の債権を担保する確定保証と同じような効果となります。
したがって、元本確定期日が到来すると、確定前に発生した元本債権およびその元本債権に対し既に発生している利息・損害金等と、確定後にその元本債権から生ずる利息・損害金等の合計金額を極度額の範囲内で保証することになり、確定後に生ずる元本債権は保証の対象とはなりません。

14. 法定の順序

債務者が債務全額に満たない弁済をおこなう場合において、弁済の内容について債権者と債務者が合意していないときに適用される、法律(民法)で定められた弁済資金の充当の順序を「法定の順序」といいます。法律によれば、①同一債務内では、費用・利息・元本の順で充当すること、②複数の債務がある場合には、弁済期限の到来した債務を優先し、ともに弁済期限が到来している債務間では借入金利の高い方などの弁済にあてることとしています。
なお、銀行取引約定書等では、債務の弁済について、必ずしも法定の順序によらないことを約定しています。

15. 差押え、仮差押え

裁判所の命令や税金の滞納処分等により、債務者の財産(土地家屋、家財道具などの有体物や預金などの金銭債権)の使用や処分を禁じることを「差押え」といいます。具体的には、債務者に何らかの債権を有する第三者が、自己の債権を保全するため、裁判所の命令等により債務者が財産を処分すること等を禁止することをいいます。
また、債権者が、将来の強制執行(債務者の財産を差押えて競売等により金銭に換価し、配当を受けて債権を回収するという手段)ができるように、あらかじめ、債務者の財産が散逸しないようにしておくことを「仮差押え」といいます。債権者は、自己の債権と保全の必要性を大まかに証明して、保証金を積んで裁判所の仮差押え命令をもらいます。その後、申立てにより仮差押えの執行がおこなわれます。

16. 求償、求償権

保証人等が債務者に代わって債務の弁済をおこなうと、保証人等は債務者に対して自ら支出した金銭の返還を請求する「求償」の権利を得ることになります。この権利を「求償権」といい、債務者が負う義務を「求償債務」といいます。

17. 競売

「競売」とは、債権者が担保取得しているまたは差押えしている不動産等について、債権者の申立てにより、裁判所が債務者に代わって債務者の不動産等を売却する担保処分手続きをいい、多数の申出人から買受の申出を受け、最高価格の申出人に競売対象物を売却することをいいます。

以上

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